NIKON Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5

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高難易度な、国内初の標準ズームレンズ

おすすめ度

購入のしやすさ 8/10

国産オールドズームレンズの中では、1位2位を争う人気のレンズです。オールドズームレンズの中では、まともな価格を保っているモデルになります。それでも、単焦点に比べたら安価です。3千円~6千円程度ではないでしょうか。Cマーク無しの方が(より初期モデルの方が)、高価になりがちですが、8千円には届かない安価なレンズです。しかも、1963年~1976年まで製造されたため、中古流通個体数も多く、買いやすいモデルです。

使いやすさ 5/10

引いて広角、伸ばして望遠というpull-push Zooom方式は、現代では用いられない方式ですので、慣れないと使いにくさが残るかも知れません。しかし、逆の引いたら望遠になる方式に比べると、より感覚にマッチすると思います。ただし、現代の高倍率ズームからすると、余りにもズーム出来なくて驚きます。標準域2倍ズームは、伊達ではありません。43mm~86mmで、最短撮影距離1.2mは流石に長すぎます。これは、マウントアダプターで解決するしかありません。この様にネガティブな要素はあるものの、以下の点は評価出来ます。重すぎない重量410g。開放値がズーム全域で F3.5。ズームレンズと考えずに、標準レンズとして捉えた場合の43mm~86mmズームの有用性。加えて、Cマーク無しのこのモデルは、ニコンのレンズとしては、逆光耐性は低いレンズとされます。逆光では、フレアが出ますがそんなに多くはありません。コーテイング無しMeyer旧ソ連製レンズなどと比較すると、素晴らしい耐逆光特性を示しています。国産ならば、オリンパスSMCでないアサヒ光学(Takumar)よりも、逆光耐性はあります。しかし、最も使いにくいと感じるのは、開放時のピント面のわかりにくさです。開放では、ピントの山が見えにくいレンズです。

現代レンズと比較した描写の独自性 8/10

このレンズ色々酷評されますが、絞り込むと悪い描写のレンズでは無いと思います。その中でも気になった、描画特性だけをピックアップします。

1.全域で歪みが出ます。

2.開放で絞りが正円でなく、やや六角形型になっているため、光源ボケが六角形になります。

3.開放では、ピントの山はつかみにくく、絞り込んでもカリカリの描写にはなりません。ミラーレスのピーキング補助に頼らないと、ピントの位置が判明しません。頑張って探したピント面は、それなりにの解像感を持っています。ピントから外れたエリアは、急に古典レンズの様な、崩れた描写になります。

総合 7/10

ズーム倍率と描写性能は、キットレンズ以下です。価格は、中古AFズームキットレンズ購入可能な程度です。開放F3.5通しは、小三元よりも優れているかも知れませんが、開放でも光源が正円ボケになりません。色々なボケが現れて大変楽しいレンズです。大きな欠点は、開放時のフォーカシングが大変難しいです。ニコンの歴史的なレンズの 1 つであるという認識が、

という欠点を補う気概のある人か、合焦領域から離れた場所の崩れた描画性能を楽しめる人にのみおすすめ出来る、大変りニッチなモデルだと思います。

このモデルとこの個体

ニッコール千夜一夜物語の紹介によると、7群9枚構成の3群ズームだそうです。中群がセンサー面に固定して、前群と後群が動き、Zoomを可能にしているようです。

このレンズは、1963年に販売されたレンズです。ニコンでは3本目のズームレンズですが、前2本はいずれも望遠ズームであり、標準域では初めてのズームレンズになります。1959年にはVoigtlander-Zoomar 36-82mm F2.8が販売されていましたので、国内初のズームレンズということになります。開放F値は半段劣るものの、Zoomarの810gに比べ、このレンズは410gと半分の重量であり、当時としては、画期的であったと予想されます。

撮影準備

最短撮影距離を解決する目的ですと、Nikon F → M42(非プラクチカマウント10mm) ,M42 → M42(17~31mm)、M42 → SONY E(1mm)が最適ですが、若干フランジバックが短くなります。

Zoomレンズは、フランジバックが変化すると、Zoomすることでフォーカスエリアが変化するため、フランジバック調整が単焦点よりも重要です。ですので、最短撮影距離を犠牲にして、Nikon F → Leica M , Leica M→ SONY E適切だと思います。

撮影(作例)

周辺光量落ちの様に見えますが、純正のプロテクトフィルターが悪影響しています。

ダブルガウス型のようなボケが現れます。

絞ると解像度も十分です。

歪みは、現代レンズとは比較にならないレベルで酷いです。

色のりは良く階調も豊かです。

マウントアダプターのヘリコイドを用いて。辛うじてマクロ撮影が可能です。しかし、二線ボケが出てきますので、うるさいボケです。

光源ボケは、開放でも完全に円形になっていません。

二線ボケが現れています。

 

今日もいっぱい遊んでもらえました。

ありがとうございました。

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