暴れを制御したボケの魅力
おすすめ度
購入のしやすさ 3/10
VITESSAに比べると、高価になります。しかし、救いが2点あります。Prominentマウントアダプターの汎用性が少なく高価なので、Prominentの交換レンズは人気が無いこと、50mmにはより明るいNOKTONが有名で人気なので、NOKTONに比べると、安価設定になっている点です。
使いやすさ 3/10 (9/10)
以下の理由で万人向けではありません。そのため、評価は低くせざるを得ません。使用できるようになってしまえば、使いやすさは 9/10です。
使いにくい点
- 市販マウントアダプタの汎用性が低く、ULTRON,NOKTON, Color-Skoparしか使えない。
- レンズにヘリコイド機構が無いため、何らかのヘリコイド付きアダプターが必要。
使いやすい点
- 小型軽量なため、機動力に優れる。
- SONY Eマウントで、自作マウントアダプターとM42ヘリコイド付きマウントアダプター(17-31mm),M42-NEXのプレートを併用すると、∞~0.3m未満まで合焦可能で、非常に使いやすいレンズでとなります。
- ピントの山を掴みやすく、合焦操作が楽です。
現代レンズと比較した描写の独自性 6/10
ダブルガウス型らしい、線の細いしっとりとした描写です。VITESSA ULTRONで見られた、非点収差(ぐるぐるボケ)は発生抑えられています。この点、spiral さんの「Prominent Ultron 50mm F2 では、背景にぐるぐるぼけが発生しにくい」との説明と一致します。世代差なのか、個体差なのか不明です。耐逆光性能は高くなく、フレア&ゴーストが発生します。周辺の解像が悪いのは、VITESSA ULTRONと同じです。
総合 4/10 (7/10)
市販Prominent用マウントアダプターを、新規購入するのであれば、マウントアダプターが高価すぎるのでおすすめできません。すでに所持しているか、方策があるのであれば、安価な個体があれば、おすすめできるレンズです。
- 小型軽量で機動性に優れており、使いやすいレンズです。
- Prominentマウントアダプターはヘリコイド有りとヘリコイド無しがありますが、いずれも高価(ヘリコイド有りで2万円~、ヘリコイド無しで1万円~)です。そこで、所有しているM42-M42(17-31mm)ヘリコイドを使用して、Prominentマウントアダプターを3Dプリンターで作製しました。
- VITESSA用ULTRONほどは暴れませんが、周辺の解像は低く、十分楽しめるレンズです。
このモデルと個体
今回のProminent用のUltron 50mm F2は、VITESSA用と同じ5群6枚の変形ダブルガウス型です。Voigtländer Prominent 35mm版は、Wikipediaによると1952年~1960年まで製造されています。交換レンズ(組み込みレンズ)として、以下のラインナップでした。
- Color-Skopar 50mm F3.5 (3群4枚)
- Ultron 50mm F2 (5群6枚)
- Nokton 50 mm F1.5 (5群7枚)
- Ultagon 24mm F5.6
- Skoparaogon 35mm F3.5
- Dynaron 100 mm F4.5
- Telomar 100 m F5.5
今回のアダプターで結合可能なのは、内爪のColor-Skopar, Ultron, Noktonだけになります。おそらく、Prominent販売時にColor-Skopar, Ultron, Noktonのいずれかがセット販売されていたと思われます。
Noktonは5群7枚で、Ultronの5群6枚よりも贅沢な作りです。開放の明るさからもNoktonのほうが人気なのは頷けます。さらにCosinaの「Nokton」名のリバイバル(レンズ構成は全く異なる)もあり、知名度も高くなっています。このため、Ultronは、Noktonに比べて安価ではあります。しかし、市販されるマウントアダプターは全て高価です。その理由は、マウントアダプターに適合するレンズは、全て50mm画角の3本しかなく、カメラ側のヘリコイドで全群繰り出しで合焦させていたため、レンズに合焦機構を持ちません。ですので、マウントアダプターが高価で(レンズ本体の価格以上になるものも多い)、これをを含めて購入するとなると敷居がかなり高くなります。
今回、破格のULTRONをカメラのナニワオンライン(レモン社)で発見し、購入しました。
撮影準備
上記にM42-M42ヘリコイド17-31mmを装着し、M42-NEXのプレートを装着すると無限遠が出て、約0.4mまで寄ることが可能です(下写真)。
安価なヘリコイド無しProminent-LMマウントアダプターはAliexpressで購入可能ですが、それでも最安値で1万円前後になります。ヘリコイド無しProminent-LMマウントアダプター + LM-Sony Eマウントアダプター(5mmのヘリコイド付き)での最短撮影距離は、約0.6mになります(下写真)。この最短撮影距離は、やや長めです。
撮影(作例)
開放でボケは、VITESSA ULTRONと同様に暴れますが、VITESSAよりもおとなしめです。
遠景は、ざわつく怪しいぼけです。
F4まで絞っても背景がグルグルします。
このレンズはF4での画面のしゃきっとした感と、ボケの相性が素晴らしと思います。
VITESSA ULTRONではあまり感じなかった、歪が現れる時があります。
逆光では、フレアに包まれます。
強力なゴーストも発生し、コントラストも低下します。
絞り込むとシャープになりますが、シャープすぎません。
しかし、ダブルガウス型の開放は、線の細い描写で、魅力的です。
絞っても良し、開いても良しの良いレンズです。
ありがとうございました。