Voigtländer Septon 50mm F2 (separation of elements)

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音までは写せなくなった、バルサム切れ玉の描写

おすすめ度

購入のしやすさ 3/10

Voigtländerブランドは非常に人気です。DKLマウントレンズは、比較的安めであることが多いのですが、それでもSeptonの価格はその人気と中古市場流通量の関係から、高値で推移しています。さらに、おそらくほとんどの個体が、バルサム切れを経験しており、修復されている(あるいはバルサム切れがない)個体は、かなりの高値が付いています。バルサム切れ玉は安価で、1/4~1/3の価格で入手可能です。

使いやすさ 7/10

 DKLマウントアダプターを含めると、Sony Eマウントでは、決して小型ではありません。マウントアダプターを含めると、重量があります。この個体は1966年以前に製造された個体で、最短撮影距離は0.9m(1966、1967年製造モデルは0.6m)です。この長さは、長めです。バルサム切れを起こしているためだと思いますが、逆光で派手なフレア、ゴーストが発生します。一方、操作性は癖がなく、使いやすいモデルです。

現代レンズと比較した描写の独自性 4/10

おそらくバルサム切れの影響で、逆光時にフレア・ゴーストが発生し、コントラストが低下します。逆光でなければ、ハイコントラストで解像感の高い描写をします。バルサム切れを本来のSeptonの実力ではないと言う人も多いですが、バルサムの仕様で経年的に剥離してしまったため、「オールドレンズとしてのSepton」の姿とも考えられます。

総合 4/10

Voigtländerの製品中でも、かなり凝った作りのモデルです。なのに、バルサム切れという決定的な弱点を持ったこのレンズには、特別な愛着がわきます。あえて安価な、バルサム切れの個体を購入して、楽しむという選択肢もあるのかも知れません。

 

このモデルと個体について

レンズ構成は、名前の通り7枚玉で、5群7枚の構成になっています。ダブルガウス型の変形です。レンズ構成は、Hasselblad Planar 80mm f2.8に酷似しています。

BESSAMATIC用に作られたこのモデルは、1959年から1967年まで販売されたレンズです。「音まで写しとる」と言われたSeptonは、現在、その多くがバルサム切れの問題に遭遇しています。一説には職人がバルサムの配合を間違えたとか、そうではなかったとか・・・。私が手にした個体も、派手にバルサムが切れている個体です。バルサム切れは、3群目でほぼ完全に剥離しています(ピンクの部分)。

Mantasさんの*LENS LEGENDによると、Voigtländer Septon 50mm F2 には2つのバリエーションがあり、1959~1965年に製造されたバージョンは、最短撮影距離が0.9mで、1966と1967年の製造モデルは0.6mだそうです。この個体は、0.9mですので、前期型になります。

撮影準備

リアキャップ

このレンズを購入した際に、DKL用リアキャップが付属していませんでした。Voigtländerオリジナルのような被せ式キャップの作成も考えましたが、中華製のメタル製高性能キャップが販売されていますので、それを購入しました。

 

マウントアダプター

DKLマウントアダプターは、所有しているものがいくつかありますが、今回はDKL-M42、M42ヘリコイドアダプター-NEXとしました。

参考 各種DKLマウントアダプター

Schneider-Kreuznach Retina-Tele-Xenar 135mm F4

 

撮影(作例)

曇天下や順光下では、解像感をもって、非常に端正な描写をします。

それでも、暖色系のかぶりが出現します。バルサムの影響かも知れません。

逆光~半逆光でフレア・ゴーストが派手に出現します。

これらの欠点のおかげで、設計時には無かった表現が可能とも考えられます。

夜間撮影では、バルサム切れの影響を受けにくいです。

ダブルガウス型の系統ですので、開放の写りも趣があります。

 

ありがとうございました。

 

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