線は太いが、使いやすい小型の中望遠
おすすめ度
購入のしやすさ 6/10
Telonは暗めのレンズであることも影響して、人気がありません。同じパクセッテマウントでも、LUXON 50mm F2やSTAEBLE-LINEOGON 35mm F3.5に比べると明らかに不人気です。数千円から1万円未満の価格で、ebayでは常時出品されています。
使いやすさ 8/10
暗い中望遠レンズはフィルム時代には大変使いにくいものであったと想像できます。しかしミラーレスカメラの全盛期の現代において、朝~夕刻までの屋外撮影であれば(日陰であっても)、シャッター速度の低下は全く心配が要りません。この点からこのレンズを評価してみます。
- Paxetteマウントは、M42よりも少し(1mmほど)短いため、M39-M42アダプターリングで変換して、M42 Prakticaマウントとすると、無限遠が出ません。Paxetteマウントアダプターが必要です。
- 開放F値5.6は、暗い室内では、動きものの撮影にはかなり不利です。
- 開放でもボケが制限されます。
- 最短撮影距離表記は、5feet 1.5m(実際は4feet位まで回転します)は長めです。ヘリコイド付きアダプターで対応する必要があります。
- 小型で軽量94gで、扱いやすいレンズです。
現代レンズと比較した描写の独自性 6/10
Web上では、酷評されることが多いこのレンズですが、開放でも癖の少ないボケです。前ボケは固めで、後ボケが軟らかくなります。
合焦面はエッジを強調した描写で、線が太く(ピントの山はなだらかですが、山が分かりにくい訳ではありません)、解像度は低めです。適度に軟らかく描写しますが、真に合焦した面は、開放でもキリッとしています。
しかし、絞り込むと、解像感が上がらず、真に合焦している面が分かりにくくなり、「ピント山の無い全体的にぼやけた描写」になってしまいます。
総合 6/10
開放で使用する分には、酷評されるほど酷いレンズではありません。絞り込んでシャープに描写する目的で使用すると、がっかりします。もしかすると、このレンズは、ライカレンズのような「開放で最高性能を発揮する」タイプなのかも知れません。
このモデル
残念ながら、ネット上でこのレンズの詳細について、ほとんど記載がありません。レンズの性能からTripletのようにも思えますが、描写は通常のTripletより、シャープです。描写はまるでTessarのようです。この大きさ、開放F値の暗さ、軽量さから、3群3枚か3群4枚の構成だと思います。
Camera-wikiによると、Telonには、Paxette用として「R」の有無の掲載があります。Rはおそらくレンズコートでしょう。R付きのこのモデルは、少なくとも何らかのコーティング(おそらくマルチコート)がなされているのだと思います。フード無しで試すと、かなり耐逆光性能に強く、ほとんどゴーストフレアが発生しません。
撮影準備
3D Printer出力
パクセッテマウントアダプター
Paxetteマウントは、フランジバック44mmです。L39フランジバック28.8mmに調整するため、15.2mmの延長チューブを配置すれば良いのですが、安全を見て14.8mmのL39チューブとしました。
このチューブは、カメラ側を絞り込んでいるのでTECHART LM-EA9 MarkIIを使うと半AF化可能です。中望遠ですので、移動量が多いため全AF化は無理です。
内面処理
3Dプリンター出力品の内面は、アクリル塗料(ターナー色彩 アクリルガッシュ 暗黒ブラック)の塗布を行いました。
この塗布には、筆を用いるよりも、キムワイプか、ケイドライが向いていると思います。
カメラへの接続
最短撮影距離の長さを短縮するため、L39をヘリコイドを介在させることにしました。このレンズは全群繰り出し式ですので、後付けヘリコイドによる画質の低下は無視可能です。
パターン1 L39-LM + LM-NEX(マイクロヘリコイド付き) :L39をLeica Mマウントに変換する方法
利点
- LM-NEX のヘリコイドが使用可能なので、最短撮影距離を短縮できます(5mm繰り出しタイプで最短撮影距離を60cmほどまでに短縮可能)。
欠点
- パターン2よりもヘリコイドの繰り出し量はやや少なめです。
- ヘリコイド繰り出しの操作がややぎこちなく、細かな調整は難しくなります。
パターン2 M39-M42 + M42-M42(10-15mm)+M42-NEX(プレート) :M42ヘリコイドアダプターを用いる方法方法
利点
- 撮影距離、50cm位にまで短縮可能です。
- パターン1よりも、繰り出し操作において、細かな調整も容易に行えます。
パターン3 L39-LM + TECHART LM-EA9 :AF化する
利点
- 半AF化が可能です。
欠点
- TECHART LM-EA9は高価です。
- 重くなります。
- 全AF化は中望遠のため無理です。移動量が足りません。
今回はパターン1を用いました。
撮影(作例)
開放でも、エッジがしっかりとした合焦面になります。前ボケは固めで、後ボケが軟らかくなります。
暗所では、黒が青みを帯びます。
後のボケは、うるさすぎず自然な感じです。
アンダー部分は黒つぶれしやすく、階調は少なめです。
フードを付けなくとも、逆光耐性性能に問題が無いレベルです。ごく希にフレアや虹のゴーストがあらわれます。
絞ると被写界深度はかなり深くなります。しかし、ピントの山も分かりにくくなってしまいます。
ありがとうございました。