小型の散歩用 中望遠
おすすめ度
購入のしやすさ 4/10
DKLマウントのレンズは、以前はアダプターが非常に高価なものしか無かったため、その作りの良さと比較して安価に設定されています。その中でも、Schneider社のレンズは流通量が多く、安価傾向です。DKLマウントのSchneider社のうち高価なのは、Curtagon 28mm F4、Xenon 50mm F1.9とTele-Arton 85mm F4だと思います。このレンズは、国内流通量が少なく、見かけるの機会は少なめです。しかし、ebayでは通常流通していますので、購入の難易度は高くありません。価格は2024年現在US$100を超えていますが、人気の85mmと考えると、やはり破格です。
使いやすさ 8/10
開放をF4に制限しているため、非常に小型で取り回しに優れます。かといって、操作性は悪くありません。ピントの山も分かりやすく、85mmレンズとしては、非常に使いやすいレンズです。唯一の欠点は、レンジファインダー用レンズですので、最短撮影距離が1.8mと長いため、ヘリコイドアダプターが必要だと思います。
現代レンズと比較した描写の独自性 6/10
収差が少なく優れたレンズです。太陽に向けなければ、フレアやゴーストが発生しにくく、耐逆光性に優れています。フード無しでも十分使えるレンズです。フォーカス域から外れると、二線ボケが出てきます。光源はダブルガウス型のようなレモン型ボケになりますが、ぐるぐるボケにはなりません。Xenotar型らしい、十分な解像力を持っています。収差を十分に抑えた、優れたレンズです。開放値がF4と大きめですが、開放でも十分使えますし、1段(F5.6に)絞ると、解像感が感じられます。このレンズの特徴は、Schneiderらしく、アンダーで青が強く出てきます。これはRetina-Tele-Xenar 135mm F4よりも強烈だと思います。また、コッテリした色のりの良さも、特筆に値します。
総合 6/10
非常にコンパクトで、使い勝手良いレンズです。DKLマウントアダプターは、フランジバックの関係で大きくなりますが、それでも鞄にそのまま収めることが可能です。この取り回しの良さ、収差の少なさは特筆に値します。開放がF4ですが、開放から十分使える描写力があります。荷物の多いときや、遠出するときの85mmとして最適だと思います。アンダー部分が青色になってしまう欠点は、RAW現像で十分に補正可能です。Schneider社のDKLマウントレンズの作りの良さを考えると、十分に満足できる1本だと思います。
このモデルとこの個体
spiralさんの記事によると、このレンズは4群5枚のXenotar型のようです。 となれば、解像感のある写りが期待できます。このレンズの製造番号は7,000,***です。Camera-wikiによると1961年の製造のようです。Retina IIIS(Type 027)が1958~1960年の販売で、Retina Reflex S(Type 034)が1959~1961年の販売(Wikipedia)ですので、おそらくこれらに向けて作られたのではないかと思います。 購入はebayでフランスの出品者から、€80で購入しました。オリジナルカプセルケースに入れられて、発送されて来ましたがレンズキャップは付属していませんでした。
撮影準備
リアキャップ
リアキャップはAmazonで入手しました。
マウントアダプター
本レンズはデッケルマウントなので、DKLマウントアダプターが必要になります。
SONY αマウント( Eマウント/ NEX )への変換は幾つかありますが、手持ちの3種類を下に示します。
本レンズをDKL-LM、LM-NEXのヘリコイド付アダプターで、最大(5mm)まで繰り出すと、最短撮影距離が約0.8mになりました。
本レンズをDKL-M42、M42-NEXのヘリコイド付アダプターで最大まで繰り出すと、最短撮影距離が約0.3mになりました。
撮影(作例)
しっかり解像するXenotar型です。開放F4です。これが60年以上前のドイツの工業力です。
アンダーで撮影し、持ち上げると真っ青になってしまいます。Schneider Blueです。
適正露出やオーバー露出では、その様なことはありません。
フード無しでこの描写ですので、耐逆光性能も、十分あると思います。
流石に完全に太陽に向けると、無理です。
上では左下にフレアが現れていますが、激しくありません。
開放でも十分に解像します。
開放の対価として二線ボケが現れます。
左上隅の拡大は、うるさく感じます。これは好き嫌いが分かれる描写です。
これも背景が二線ボケになります。
この二線ボケや、光源の円形ボケがこのレンズの持ち味です。
それにしても、開放でこの描写力は驚きです。
絞り込むと解像力が増して、しっかり描写します。収差が非常に少なくなります。
しかし、アンダーの青色は相変わらずです。
たくさんのワンちゃんに、構ってもらえました。
ありがとうございました。