SANKYO KOHKI W-KOMURA 28mm F3.5

投稿者:

低解像を楽しむ、普及型レトロフォーカス

おすすめ度

購入のしやすさ 10/10

一部の初期KOMURAレンズ以外のKOMURAレンズは、非常に安価で中古市場で溢れています。比較的、広角レンズは高めの価格設定ですが、それでも3千円程度~で購入可能です。

使いやすさ 7/10

  • 酷いフレアやゴーストを予想していましたが、逆光耐性は、ある程度、担保されています。
  • 最短撮影距離0.4mは、十分とは言えませんが、長すぎません。
  • 金属鏡筒とガラスで作られたレンズで、重さ(360g)があります。長時間の持ち歩きには不向きです。
  • 長さ(5.3cm、FDマウント)で、長めのレンズです。決して取り回しが良いとは言えません。
  • この個体の問題かも知れませんが、レンズ先端に取り付けられた絞り環とピントリング環境目が曖昧で、かつ絞り環のトルクが軽いため、合焦作業で絞り環が移動しやすいです。対策として絞り環とプリセット絞り環をパーマセルテープ(カモ井加工紙 Mt foto)で固定して使用しました。

現代レンズと比較した描写の独自性 8/10

広角のオールドレンズに期待する、模範的な駄目な描写をしてくれるレンズです。

以下に加点要素を記載します。

  • 線が太い、柔らかな描写です。
  • 白が滲みます。
  • 開放では、中心部でも非常に低解像な像になります。
  • 開放では、わずかに周辺光量が落ちます。
  • フリンジが発生します。
  • 絞っても周辺の解像は低いままです。
  • 糸巻き型に歪みます。

総合 7/10

広角オールドレンズらしい写りをするレンズです。言い方を変えれば、お手本のような駄目レンズです。これを「このレンズのチャームポイント」と捉えられる人には、おすすめ出来ます。その観点から、本レンズの欠点は、所有欲の不充足でしょう。描写に特徴の少ない広角レンズの中で、オールドレンズとして楽しめる1本です。

このモデル

このモデルは、6群6枚のレトロフォーカス型です。枚数情報だけですと、NIKKOR H AUTO 28mm F3.5と同じですが、おそらく3~6枚目の構成は、アンジェニューに準拠していると思います。

Komura 28mm F3.5は大きく3世代に分かれます。

  1. Leica スクリューマウント(L39)の第1世代 フィルター径43mm 4群6枚のオルソメター型
  2. Uniアダプターを接合した第2世代 フィルター径55mm 6群6枚のレトロフォーカス型
  3. Uni Autoアダプターを接合した第3世代 フィルター径52mm 6群8枚のレトロフォーカス型

このモデルはは第2世代の光学で、Uniアダプターを装備する前の時代のものです。形状的にはFDマウント(おそらくFLマウント)が結合しており、絞りのオート機構はありません。

撮影準備

KOMURAブランドのレンズは、簡単に分解清掃可能なものが多く、分解清掃をして使用しました。

鏡筒先端を、反時計回りで回転させると、前群ユニットごと外れます。

名盤を回転させると1枚目が外れます。

後群はカニ目レンチで外すことが可能です。

レンズエッジのコバ落ちは、手を付けず、そのままにしました。

FDマウントですので、FD – Leica Mマウントアダプター + LM -  NEX(ヘリコイド付き) を選択したくなります。しかし、以下の理由で今回は固定の、FD – NEX マウントアダプターを使用します。

  • 最短撮影距離0.4mと、実使用に耐えうる。
  • レンズの重量があり、マイクロヘリコイドに負担がかかる。
  • レトロフォーカス型は、描写性能の観点から、マイクロヘリコイドと相性が悪い。

撮影(作例)

 

開放では、解像感が足りません。しかし、想像以上に、周辺光量は落ちません。

白滲みをします。

端の解像力は低くなります。

フリンジも発生します。

歪みも発生します。

F8まで絞り込むと、解像力は向上します。

 

  ボケは、うるさすぎず、素直です。

 

耐逆光性能は低くありません。

ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA