Ross Zeiss CONVERTIBLE ANASTIGMAT (Protar VIIa No4 ) 5′ 128mm F6.3

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円形ボケに溺れる。

おすすめ度

購入のしやすさ 3/10

Protarは、流通量が比較的あり、珍しいものではありません。そのため、Rossのレンズの中では安価に設定されています。その中で、焦点距離5インチは汎用性が高く高値です。

使いやすさ 5/10 (8/10)

ポジティブ評価要素

  • フランジバックは比較的短いです。レンズ先端からEマウントまで(12.5cm)で、無限遠が出ます。これは古典レンズにしては、かなり短いです。現代レンズと比較しても、決して全長は長くありません。システムが小型で収まります。
  • 本体重量(122g)、マウントアダプターをPLA素材で製作すると、M42‐NEXマウントアダプターを除いた、システム全体で軽量(244g)で、古典レンズにしては、かなり軽量です。
  • 合焦作業の際に、移動量が少なく、非常に使いやすいレンズです。
  • 柔らかいですが、十分な解像度を持ち合わせています。
  • 35mmフルサイズセンサーではレンズの中心部を用いるためか、収差が少なく端正な写りになります。

ネガティブ評価要素

  • 市販のマウントアダプターが無いため、低く評価せざるを得ません。
  • 逆光耐性は低めです。絞ってもフレアが発生しがちです。
  • 開放F値 6.3は暗いです。シャッター速度1/500を確保すると日中屋外は問題なく撮影できますが、室内や夜間は難しくなります。

現代レンズと比較した描写の独自性 6/10

Tessarには及びませんが、ピントの山は非常にわかりやすく、合焦させやすいレンズです。シャープさはありますが、シャープすぎません。このレンズの特徴は、開放時のボケの「うるささ」だと思います。ボケは、円形が形成されボケていくため、大量にバブルボケが発生します。

総合 6/10

初期Zeissの屋台骨のレンズです。もう少し癖のない写りをするのかと思いましたが、円形ボケに溺れるような、非常に特徴的な描写をします。安価な個体で短めの焦点距離の個体があれば、非常に楽しめると思います。後はマウントアダプター問題だけが残ります。

このモデルと個体

Zeissのライセンス下で、Rossが製造したDoppel Protar型で、Ser. VIIa No4 5inch (128mm) F6.3です。これは、Ser. Ⅶ No2 9inch (224mm) F12.5を左右対照しにした構成です。Camera Eccentricに掲載される1909年、1927年Zeissのカタログによると、2群8枚の構成です。

Wikipedia(日本語)によるとProtarの製造は、Zeissのライセンスの下に、Ross以外でも、Bausch LombやE.Kraussで行われました。

この個体はebayで英国の出品者から購入しました。レンズ前群と後群には連番のSerial Numberが記されています。この番号は”Zeiss 10,208″と表記されています。これがZeissのシリアルナンバーなのかRossのシリアルナンバーなのか不明です。もし、Zeissだとすると、Camera wikiから1890年代の製造ということになります。 もし、Rossだとすると、Camera wikiから1860年代の製造ということになります。1890年に開発されたProtarは、Wikipedia(日本語)によると1900年からProtarの名称が使用されています。ここから”Zeiss 10,208″は、Zeissのシリアル番号で1890年代の製造だと思います。このレンズの特徴的な絞り表記板については、後で付けられたものとは思えない完成度ですが、詳細は不明です。

撮影準備

M42フランジバックに合わせマウントアダプターを出力しました。このレンズにはヘリコイドがないため、回転式ヘリコイドを組み込みます。

このアダプターをPixco M42-NEX ヘリコイド付きマウントアダプターに接続します。


(バシュポ) Pixco ヘリコイド付きマウントアダプター M42レンズ-ソニーNEXカメラボディ対応 m42-NEX
(楽天)

TOP

Wall

Bottom

Stopper

Hood

Rcap

撮影(作例)

開放時には、遠景が丸くボケます。

少しうるさいくらいです(拡大)。

1段絞っても、このような背景ですと、うるさく感じます。

日陰では、気にならない描写になります。100年前のレンズとは信じられない、端正な描写をします。

白は苦手です。

半逆行~逆光でフレアが生じ、低コントラストになります。

一方、黒はかなり粘って、写し取ります。

現代のレンズには全く及びませんが、解像力も十分あります。

ラージフォーマットのレンズの中心部を使っているからなのかもしれませんが、少なくとも35mmフルサイズセンサーの端であっても、中心部と同様に解像しています。

古典レンズにしては、かなり使いやすい(扱いやすい)レンズです。

ありがとうございました。

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