ROKUOH-SHA Pearlette 75mm F8 (Echo shutter)

投稿者:

コニカとペンタックスの前身同士の合作

おすすめ度

購入のしやすさ 9/10

Pearletteには多くのバリエーションが存在しますが、総じて海外製のカメラほどの価格は付いておらず、安価です。特にWollensak社製のシャッターで無い(六櫻社製シャッター)の単玉モデルは、不人気の傾向にあるように見えます。状態の悪いモデルでは1,000円以下の価格で流通する個体も多く存在しています。

使いやすさ 3/10 (8/10)

マウントアダプター、ヘリコイドが必要です。この点で使いやすさ3/10です。

今回は昭和初期のモデルですが、全体に金属が軟らかく、分解清掃は困難でした。

Echoシャッター・絞りユニット付きの状態でのフォーカシングは、ピントの山が見やすく、予想外に快適です。ただし、オリジナル本体が、レンズ・シャッターユニットを前後に移動させ合焦させるものでは無い様ですので、合焦操作は、絞りの開閉だけで行うのが正確なのかも知れません。いずれにせよ、現代のミラーレスカメラに装着して使うのであれば、単玉(色消しレンズ)にしては、かなり合焦させやすいレンズです。

フード外し(絞りユニット外し)た単玉だけの状態では収差激しく、ピントの山がほぼ分からない、霧の中の様な描写です。合焦面を探すのは困難です。明るさはF5相当になります。

この様に、全く異なる味わいが楽しめるのは、単玉(色消しレンズ)の醍醐味でもあります。マウントアダプターが用意できるなら、使いやすさは8/10です。

現代レンズと比較した描写の独自性 10/10

フード外し(絞りユニット外し)は、現代のレンズでは絶対にあり得ない、dreamyな描写です。一方で、絞りユニットで開放F値を8に制限すること、十分に解像します。フォーカスから外れた部分は、 Dialyte型のようなボケになります。

総合 8/10

Vest Pocket Kodakと同様に、安価で手の伸ばしやすいカメラです。フードを外すと幻想的な描写が楽しめます。フードを付けたままでは、ゾーンフォーカスですので合焦操作は楽です。おすすめにおける最大の障壁は、マウントアダプター問題だけです。

このモデルと個体

Pearletteの全モデルについては、六櫻社さんのページの記載が詳しいですが、詳しく調べてみると、このモデルはPearletteの中でも、典型的でないモデルのようです。このモデルは、外観から1.虎マスクがされています。虎マスクは、1932 ~1934年(昭和 7~9年)の製造モデルです。次に六櫻社製Echoシャッターが搭載されています。Echoシャッターは1934年(昭和 9年)~以降のモデルに採用されています。開放はF8で単玉です。これは、六櫻社さんの記事では1933年(昭和8年)モデルの特徴で 旭光学合資社製だそうです(1934年モデルからF11になります)。おそらく、この個体は1933~1934年(昭和8~9年)に作られた個体ではないでしょうか。

コニカ(ミノルタ)の前身である六櫻社の筐体に、ペンタックスの前身である旭光学合資社製レンズという合作のモデルです。残念ながら、入手したときの筐体の状態は悪く、一部部品が外れていました。

撮影準備

シャッター問題

このシャッターにはTがありません。通常では、シャッター幕を外すことを検討しますが、このEchoシャッターは、上図赤丸の内側ノブが移動することで、シャッター幕が開閉します。そこで、取り外し可能な光重合型ボンドを用いて、開放状態で固定しました。

フランジバック調整

3cmの長さのチューブを作りました。これに接合することで、ヘリコイド付きM42マウントアダプターに適合します。


(バシュポ) Pixco ヘリコイド付きマウントアダプター M42レンズ-ソニーNEXカメラボディ対応 m42-NEX

レンズフード

このレンズは耐逆光性能が低いため、フードを付けます。

フロントキャップ

フロントキャップも、ねじ込み式にしました。

フード外し

フード(シャッター・絞りユニット)から単玉を外して、このボディーに収納します。これに接合することで、ヘリコイド付きM42マウントアダプターに適合します。絞りは使えなくなりますが、F5相当の幻想的な描写が楽しめます。

撮影(作例)

フード(シャッター・絞りユニット)外し (F5)

光のシャワーに襲われます。圧巻、「素晴らしい」の一言です。

フード(シャッター・絞りユニット)あり (F8~)

別のレンズかのように、普通の写りになります。

 しかしよく見ると、遠景ボケは怪しく、Dialyte型の様な描写です。

まさに、「一粒で二度おいしい」非常に楽しいレンズです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA