非コートのDialyte型でフレアに溺れる
おすすめ度
購入のしやすさ 6/10
Eurynarを装着したカメラの流通量は多くありません。Eurynar F4.5は、F3.5に比べると比較的安価です。ごく希に105mm F4.5 は、数千円~販売されます。
使いやすさ 2/10
使いにくい点
- 専用設計のマウントアダプターを用意しなくてはいけません。
- レンスユニットにヘリコイド機構がありません。別途必要です。
- 乱反射防止コーティングが施されていないため、白が滲む&フレアが多発します。カラー写真撮影には、厳しい特性です。
- レンズフードが必須ですが、前玉先端にレンズフードを増設するスペースがありません。マウントアダプター部位からレンズフードを立ち上げると、全体として大きめのシステムになります。
- ピントの山が見つけにくいレンズです。
使いやすい点
- マウントアダプターを経由しても、軽量のシステムです。
現代レンズと比較した描写の独自性 7/10
解像力は低く、軟らかい描写です。コートされていないレンズのため、容易にフレアが発生し画面を覆い尽くします。このフレアにより、さらに解像が甘くなります。白色は滲みます。アンダー部分は寒色系に転びやすいレンズです。カラーではなく、モノクロ撮影に向いているのかも知れません。
総合 3/10
マウントアダプター問題が解決したとしても、フレア対策の必要があります。このレンズで、快適に野外撮影を行うためにには、高い障壁をいくつもクリアする必要があります。そこから得られた像は、特徴が少なめな古典レンズの平均値のような像です。
このモデル
WWW.BLENDE-UND-ZEIT-FORUM.DE (BZF)のフォーラム内でDanimannさんによりDoppel Anastigmat Eurynarのカタログと、標準的なモデルの構成図が示されています。Eurynarは、Rodenstock がDialyte型レンズ構成に付けた名称のようで、レンズ構成は4群4枚です。Eurynarは、開放F値3.5と4.5が販売されていた様です。
F4.5は、5cm~30cmまでラインナップされ、それぞれイメージサークルが異なりました。
- 5cm:3×4cm
- 7.5cm:4.5×6cm
- 10.5cm:6×9cm
- 12cm:6.5×11cm
- 13.5cm:9×12cm
- 15cm:9×14cm
- 16.5cm:10×15cm
- 18cm:12×16cm
- 21cm:13×18cm
- 24cm:16×21cm
- 30cm:18×24cm
10.5cmは6×9ブローニー判をカバーする様です。
撮影準備
マウントアダプターとフード
これらを制作してM42フランジバックのPixco ヘリコイド付きM42マウントアダプター(M42-NEX)に連結しました。
内面処理
3Dプリンター出力品の内面は、アクリル塗料(ターナー色彩 アクリルガッシュ 暗黒ブラック)の塗布を行いました。
この塗布には、筆を用いるよりも、キムワイプか、ケイドライが向いていると思います。
撮影(作例)
非コートレンズの宿命ですが、フレアに覆われます。
35mmフォーマットでは、周辺部は中心部と同じ位の解像度を維持していそうです。
しかし、中心部であっても、決して解像度は高くありません。線の太い描写です。
絞り込むと、それなりに解像力は上がります。
しかし、フレアは相変わらず発生します。それによって、コントラストと解像が低下します。
フレアもここまで凄いと、それを楽しむべきでしょうか?
被写界深度は浅めです。
ありがとうございました。