クセ玉のHeliar型
おすすめ度
購入のしやすさ 4/10
Olympus ACEのレンズ3(4)種類は、既製マウントアダプターが販売されていないため、人気がありません。比較的、安価な価格で販売されています。しかし、このACEのレンズ群の中で、最も人気なのは、この35mmになります。人気も高く、やや高価です。
使いやすさ 6/10
加点
- マウントアダプターを含めても、非常に小型です。
- 軽量で、取り回しの良いレンズです。
- 耐逆光性に優れており、純正メタルを付けなくても逆光に対して耐性を発揮します。
減点
- 市販マウントアダプターがありません。何らかのものを用意する必要があります。
- 最短撮影距離0.8mは、使いにくい仕様です。ヘリコイド付きアダプターで対応する必要があります。
- 絞り制御リングが、ヘリコイドよりも先端に位置しており、絞りを動かすと、ヘリコイドが移動します。
- クリック付き絞りですが、1段ごとで、2.8~16まで6段階しか選択できません。
- 純正メタルフードを着用すると、絞り位置の視認性が落ちます。
現代レンズと比較した描写の独自性 8/10
加点
- アンダー部が黒潰れしやすく、階調性に乏しいです。
- 周辺の像は、流れます。これは絞り込んでも変わりません。
- 最短撮影距離で、遠景にぐるぐるボケが発生します。
- 周辺減光は、少なめですが発生します。
- 白が滲みます。
減点
- 歪みは少なめです。
総合 6/10
マウントアダプターが無いため、万人向けではありません。しかし、マウントアダプターの製作は、比較的難易度が低めです。明らかにOMマウントではない、Zuikoレンズが味わえます。
このモデル
Olympus ACEは、公式ページによると、1958年に販売されたレンズシャッターカメラです。このカメラには、E.ZUIKO 45mm F2.8が標準で付属し、E.ZUIKO-W 35mm F2.8とE.ZUIKO-T 80mm F5.6(80mm F4)が交換レンズとして販売されていたようです。いずれもE.ZUIKOなので5枚というのは分かります。robert_okuさんの記事では「Heliar型」とされていました。助かったことに、chanchentanさんが、書籍の複写を上げてくださっています。これによると、確かに3群5枚のHeliar型です。
撮影準備
アダプター
3dプリンター出力
Part1でフランジバックを11mm延長し、L39としました。
Part2でレンズが外れないように固定します。これには、カニ目レンチが使える穴を開けています。
Part3をねじ込むことで、確実に外れないように固定します。これには、カニ目レンチが使える穴を開けています。
これらは、OVERTURE PLA Plus (Professional) フィラメントを用いました。
L39-NEXマウントアダプター
このレンズはL39マウント(ライカスクリューマウント)です。
以下の3つでSONY Eマウントに結合可能です。
しかし、TECHART LM-EA9 は重く、AFも爆速ではありません。パターン1のL39-LM + LM-NEX(マイクロヘリコイド付き) :L39をLeica Mマウントに変換する方法を用います。
パターン1 L39-LM + LM-NEX(マイクロヘリコイド付き) :L39をLeica Mマウントに変換する方法
利点
- LM-NEX のヘリコイドが使用可能なので、最短撮影距離を短縮できます(5mm繰り出しタイプで最短撮影距離を40cmほどまでに短縮可能)。
- 絞りの表記などを中央に揃えられます。
欠点
- パターン2よりもヘリコイドの繰り出し量はやや少なめです。
- ヘリコイド繰り出しの操作がややぎこちなく、細かな調整は難しくなります。
パターン2 M39-M42 + M42-M42(10-15mm)+M42-NEX(プレート) :M42ヘリコイドアダプターを用いる方法
利点
- 撮影距離、30cmにまで短縮可能です。
- パターン1よりも、繰り出し操作において、細かな調整も容易に行えます。
欠点
- レンズをマウントするとパターン1と比べ、180°反対になります。
パターン3 L39-LM + TECHART LM-EA9 :AF化する
利点
- AF化が可能です。
欠点
- このレンズの特徴である、軽量&ノブの迅速な回転によるフォーカシングによる機動性が喪失します。
- この組合せでは最短撮影距離の短縮は僅かです。
- TECHART LM-EA9は高価です。
- 重くなります。
今回はパターン1を用います。
これで30cm未満まで寄れます。
キャップ
レンズシャッターカメラ用レンズですので、被せ式リアキャップは、E.ZUIKO 45mm F2.8、E.ZUIKO-T 80mm F5.6(E.ZUIKO-T 80mm F4)と共通です。
被せ式フロントキャップは、37.5mmフィルター枠で、E.ZUIKO 45mm F2.8と共通です。
撮影(作例)
周辺の前ボケは、激しく流れます。
これは、F8まで絞り込んでも同じです。
開放では、ぐるぐるボケが発生します。
アンダー部分は、黒潰れしやすくなります。
耐逆光性能は、かなり確保されていますが、やはり真逆光は苦手です。フレア&ゴーストが発生します。
白滲みが現れます。
歪みは少なそうです。
Heliar型宿命の、二線ボケが発生しますが、比較的巧くコントロールされています。
ありがとうございました。