NIKON NIKKOR H AUTO 28mm F3.5

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開放でのみオールドレンズの描写が得られる

おすすめ度

購入のしやすさ 10/10

1960年~1976年頃まで同一光学設計で製造されていた(Nippon Kogaku Nikkor-H Auto 28mm F3.5~ Nikon Nikkor 28mm F3.5) ため、中古市場で流通量も多く、価格も安価(2,000~10,000円程)です。

使いやすさ 6/10

良い点

  1. 小型で軽量(215g)です。
  2. 安心のニコンFマウントです。

悪い点

  1. 最短撮影距離0.6mは、現代の基準からは長すぎます。この対策として、Nikon F → Leica MLeica M→ SONY E(ヘリコイド付き)Nikon F → M42(非プラクチカマウント10mm)M42 → M42(17~31mm)M42 → SONY E(1mm)で全群繰り出しにより、最短撮影距離を延長する方法が考えられます。しかし、このレンズの最大の欠点は、ニコン千夜一夜物語・第十二夜でも記載されていますが、近接&開放で低解像です。このため、「あえて最短撮影距離を0.6mと長くした」とのことです。
  2. C無しなので、マルチコートがされていません。耐逆光性能は低くはありませんが、逆光では、フレアが発生して、低コントラストになります。

現代レンズと比較した描写の独自性 5/10

評価すべき点(一般的には短所)

  • C無しなので、マルチコートがされていません。そのためゴースト&フレアが発生します。
  • 近接&開放での低解像力。
  • 開放で非点収差が表れます。

評価できない点(一般的には長所)

  • 古い広角レンズに期待しがちな、歪みはかなり少なくなります。
  • 古い広角レンズに期待しがちな、周辺減光がありません。

総合 6/10

スマートフォンの台頭で、28mmの画角は今となっては普通の画角になってしましました。そのことを考えると、28mm F3.5は光学的に、優位性が全くありません。近接して、パースペクティブを強調した撮影が難しい広角レンズは使用用途が限定されてしまします。加えて、F5.6まで絞ると良く写ってしまいます。開放で残る収差以外、オールドレンズとしての魅力が少ないレンズです。

このモデル

6群6枚のレトロフォーカスです。ニコン千夜一夜物語・第十二夜では、後群をアンジェニューの凸凸凹凸から、凸凹凸凸に変更した、ニコンオリジナルとしています。これにより28mm(75.4°)を可能にしたとの記載がなされています。1968年販売のこのモデルであるNIKKOR H AUTO 28mm F3.5には、C(マルチコート)バージョンが存在したそうです。Cの有無と描写については、eruptさんの記事に、わかりやすく解説されています。

LENS-DB.comによるとNikkor 28mm F3.5の変遷は以下になります。

1960年~ Nippon Kogaku Nikkor-H Auto 28mm F3.5
1968年~ Nippon Kogaku Nikkor-H[·C] Auto 28mm F3.5
1971年~ Nikon Nikkor-H[·C] Auto 28mm
1975年~ Nikon Nikkor 28mm F3.5

1977年~ Nikon AI Nikkor 28mm F3.5
1981年~ Nikon AI-S Nikkor 28mm F3.5

これらは全て6群6枚ですが、AI Nikkor からは4枚目が厚くなり、光学設計が変更されています。

本モデルは、Nikon表記ですので1971年以降のモデルです。Photo LensさんのSerial Number検索では、No 680,001 ~ 807,614が1971年 〜 1973年製造とのことです。この個体は700,***ですので1971年か1972年の製造だと推測できます。

撮影準備

Nikon F → Leica M でLeica Mマウント化すると、 Leica M→ SONY E(ヘリコイド付き)を使用すると、かなり合焦範囲も広くなります。光学性能を全く無視すると、Nikon F → Leica MTEACH ART LM-EA9で使用すると、レンズを無限遠に設定しておくと∞~1mまでは合焦させることが可能です。

しかし、レトロフォーカスで、全群繰り出しではありませんので、オーソドックスにAI Gレンズ-NEX Eマウントアダプターか、Fマウント-NEX Eマウントアダプターが最適です。

撮影(作例)

近接&開放では、解像が甘くなり非点収差が表れます。

合焦面を1.5mほどにしても、非点収差は残ります。

絞り込むと、近接でも解像力が増し、収差が消えます。

逆光ではフレアに埋もれて、低コントラストになります。

絞り込んでも、斜光~逆光でゴーストも発生します。今では少なくなった、五角形ゴーストです。

順光ではハイコントラストな描写です。

最短60cmは長めですが、マクロが出来ない程度です。

スマートフォンから見ると、決して広角すぎることはありません。

ありがとうございました。

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