Carl Zeiss Jena Biometar 80mm F2.8

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Zeiss Jenaの再生~Flektogonの礎

おすすめ度

購入のしやすさ 6/10

一時期よりも中古流通量は少なくなりましたが、 Pentacon6 (Kiev60)のモデルは、Exaktaマウントよりも安価で、中古市場に多くあります(売れ残り?)。

使いやすさ 7/10

マウントアダプター、リアキャップ問題を解決出来たとすれば、残りの問題は大きさだけです。

現代レンズと比較した描写の独自性 8/10

クセ玉ではなく、非常に美しい描写をします。古いレンズという評価を飛び越えて、素晴らしいレンズです。

総合 8/10

大きくても持ち出したくなるレンズです。コストパフォーマンス最高です。

 

モデル詳細

このレンズの作られた時代背景を調べると、再生Jenaの姿が見えてきました。Carl Zeissの歴史は、多くが西ドイツ(Oberkoche)側から語られがちですが、このレンズは東ドイツ側(Jena)側の新製品の代表です。

戦時下の工場の爆撃やソ連への戦後賠償、Zeiss Optonへの技術者引抜や設計図の流出など、散々な状況下のZeiss Jenaで設計され、1948年9月に販売されたBiometarは、4群5枚の変形ガウスタイプです。Biotarの3群目を薄く屈曲させた構造のBiometarの製造は、当時の技術として、大変難しく、Sonnarよりも高価なレンズだったそうです。さらに、35mm(ライカ)版は焦点距離の長さから、多く売れず、1960年代で製造を中止しています。一方の6×6版用は中堅の人気を博し、PrimarflexやReflex-Korelleにも搭載されていましたし、ブロニカのZenzanonとしても販売されていたみたいです。さらに、光学計算機が開発された後、それを活用して、BiometarからFlektogonが開発されたようです。

 

この個体について

ヤフオクにて、マウント不明で出品されていたもので、 Pentacon6 (Kiev60)マウントでした。中期のゼブラモデルで、光学系の状態は良く、動作も問題ない状態でした。この個体のシリアル番号は876****です。

Camera-wiki.orgによれば、戦後Carl Zeiss Jenaの製造番号は以下ですので、おおよそ、1969年前後に製造された個体であることが分かります。

1964~1967 : 7,000,000~8,000,000

1967~1970 : 8,000,000~9,000,000

1970~1975 : 9,000,000~10,000,000

この製造年は、ゼブラが好んで使用された年代と一致します。

 

Pentacon6 マウントアダプター

Pentacon6 -M42マウントアダプタをAli Expressで購入し、M42-NEXヘリコイドアダプターで接続しました。

現在では、AmazonでPentacon6 -Nikon Fマウントアダプターが格安で販売されているので、こちらがおすすめです。これですと、Pentacon6 →Nikon FNikon F → LMLM→NEX(ヘリコイド付き)で組むと、最短撮影距離の短縮も可能です。

コーティングが貧弱でハレーションやゴーストが出やすく(そこが良い味を出すのですが)、今回は3Dプリンターで自作したフードを用います。

フード上部を太くすることで、本体に装着していた被せキャップが、適合します。

内面の乱反射防止処理

OVERTURE PLA Plusは、ブラックであっても、レンズ周りとして許容できない程度の光沢があります。フード内側の乱反射防止処理を、アクリル塗料行います。私は、ターナー色彩 アクリルガッシュ 暗黒ブラックをよく用いますが、同ジェットブラックも好きで、気分で変えています。

このアクリル塗料を“筆”で薄くのばすと説明されることが多いですが、実際にやってみると難易度が高くなります。私は、多めに塗布面に出して、ケイドライに吸わせながら拭いていく方法をとっています。この方が良くぬれます。ケイドライの入手が難しい方は、硬いですがペーパータオル等でも代用可能かと思います。

Pentacon6 -M42位の大きなマウントアダプターの、内面乱反射は看過できません。

明らかに「中央が白くなる」状態になります。これを防ぐためにも、マウントアダプター内面にも、アクリル塗料(ターナー色彩 アクリルガッシュ 暗黒ブラックの塗布が必要です。

撮影(作例)

後ろボケが怪しい雰囲気です。

シャドー部の階調も十分です。

エッジがシャープなレンズです。

線が太く、しっかりした描写なのに、Tessarとは異なる、優しい雰囲気です。

敢えて欠点を挙げるとしたら、アンダーで寒色系に転びます。

晴れた日です。このレンズ太陽光の下で、独特な空気感を演出します。

露出オーバー気味で、一気に暖色系に転びます。オレンジ色が美しいです。

6×6なので、35mmフォーマットでは、画像解像度が素晴らしいです。伊達に大きいだけではありません。

前ボケが美しいです。

玉ボケも綺麗に出ます。

ありがとうございました。

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