BAUSCH&LOMB RAPID RECTILINEAR 85mm F8(US 4)

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不思議なボケでもよく写る、1世紀前の量産レンズ。

おすすめ度

購入のしやすさ 9/10

KODAK No2A. Folding Auto Autographic Brownieは中古流通量は少なくなりましたが、数千円以下で購入可能です。しかし、レンズ名は、側面に(小さく)書いてあり、特にインターネットで購入する場合は、商品を見るまで不明なことが多いです。

使いやすさ 3/10

カメラに接続することが、最大の問題です。3Dプリンター出力以外なら、M42カメラボディーキャップに穴を開け、延長チューブでフランジバックを確保する方法をおすすめします。次の問題は、このモデルはヘリコイドがありませんので、ヘリコイド確保です。

現代レンズと比較した描写の独自性 9/10

解像感は少なめですが、ピント面はよく写ります。太陽光下の前ボケが幻想的です。F11まで絞っても、決してシャープな画像にはなりません。

総合 4/10

100年以上前の写りを、デジタルカメラで、格安で楽しむことができる素晴らしレンズです。カメラへの取り付けが、最大のネックです。

モデル詳細

 

KODAK No2A. Folding Auto Autographic Brownie に付けられていました。KODAK No2. Folding Auto Autographic Brownieは、1915 年 9 月~1926 年まで製造されたモデルです。120 ロール フィルムを使用していました。レンズはAchromatic(メニスカス) か、RAPID RECTILINEAR(アプラナート型)が搭載されていました。

レンズの焦点距離は記載されていませんが、実測で85mm相当です。

絞り値は、US4~(US表記)ですので、F8~に相当します。実測でもF8相当でした。

絞り制御ノブの場所に、開放側から以下の表記があります。

US4  PORTRAIT (F8)

NEAR VIEW

8  AVERAGE VIEW (F11)

16  DISTANT VIEW (F16)

32 MARINE (F22)

64 CLOUDS (F32)

レンズ自体にはヘリコイド機構がなく、ベローズを使って合焦させるのかと思いました。しかし、この記載事項を見ると、絞り込んで被写界深度を稼いで、合焦させるものだったのでしょうか。

 

この個体について

KODAK Folding Cameraは非常に多くのモデルが販売され、販売数も非常に多いカメラです。そのため、2024年現在でも、中古流通数が多いため、一部のレアモデル以外、ほとんど価格がついていません。本レンズは、非常に状態の悪い、KODAK No2A. Folding Auto Autographic Brownie に付けられて、ヤフオクで数百円で売られていました。

レンズの種類と製造会社は、非常に小さい字で、レンズ先端の側面に記載されています。

本レンズは、BAUSCH&LOMB製のRAPID RECTILINEARで、KODAK BALL BEARING SHUTTERが搭載されています。 brownie-camera.comの掲載情報では、RAPID RECTILINEARで BALL BEARING SHUTTER搭載モデルは、1915年11月~1923年11月のモデルです。

本カメラのシリアルNOは10,988でした。webページの資料によると、1917 年(シリアルナンバー 133,301 )以降、カメラの角を丸めた処理が行われたとあります。とするならば、この個体は、1915年~1916年製造モデルです。

KODAK No2A. Folding Auto Autographic Brownie は子供向けに作成されたモデルだ、との説もありますが、引用元のページ(Camera-wiki.org)が削除されているため、不明です。100年以上前、どのような人が、このカメラを買ったのでしょうか?

アダプター作製

以下Amazon Associate Linkを含みます。

このレンズは、レンズ自体にヘリコイド機構はありません。そこで、M42(プラクチカ/ペンタックススクリュー)に変換して、M42ヘリコイドアダプターで、レンズを移動させることにします。

絞り開放で、無限遠を出すためには、ペンタックスM42マウントに装着した状態で、フランジバックが38mm不足していました。

アダプター

レンズ側 直径21mm、長さ38mmのM42ネジを備えたアダプターを作成します。

フード

このレンズは、乱反射防止処理等が一切されていない(と思います)ため、非常にフレア&ゴーストが出ます。そこで、フードを装着しようと思いました。しかしながら、レンズ先端に、フィルター装着用のネジがありません。また、レンズがシャッターから、しっかり飛び出してもいません。

そこで、上記マウントアダプター側面にネジを切って、ねじ込みフードを装着する方法にしました。この方法の欠点は、撮影途中で、絞りを変えにくいことです。

このレンズでは、雑光をカットするのは非常に困難です。最初、内側が円滑なモデルを作製し、内面反射防止処理を行っても、派手にフレアが発生します。内面に段差を付けても、減少はするものの、フレアは残ります。このフレアも、楽しむことにします。

 

キャップ

前述のように、レンズキャップの装着が困難です。

そこで、フード同様にマウント側面のネジを利用して、キャップを装着します。

 

延長チューブ

本カメラの設計が、ベローズを動かさないで、被写界深度の深さだけで合焦範囲を決めるものであったとするならば、M42+38mmのフランジバックでは不足です。

絞り制御盤に 開放でポートレートや近接と書いています。

近接を1.5mに合焦するように、12mmの延長チューブを出力しました。

これを使うことで、本来の絞りで合焦させるという、楽しみ方が出来ます。

内面反射防止は、以下を行いました。

Carl Zeiss Jena Biometar 80mm F2.8

撮影(作例)

下は隅の像(トーン補正)

滲んでボケが幻想的です。

お散歩の前の、日向ぼっこ。いつお散歩に行くんだ~と、無言の催促をしております。

このレンズ、流石に現代レンズの解像度の足下にも及びません。

桜が満開でした。

いつものドッグランで、シェットランドシープドッグちゃんにお会いしました。

このレンズ、本当に不思議な、前ボケをします。

端の解像が怪しいときがあります。

絞り開放ですが、近景はしっかり解像します。

若干、周辺部のケラレがあるように見えます。

フードの設計を見直すべきですね~。

少し離れると、開放では、ピントの山が見えにくいです。

もしかすると、そういった意味で、絞り指示だったのでしょうか。

大きなワンちゃんにも、構ってもらえました。

絞り開放は、近接でもしっかり解像します。

最後まで見ていただいてありがとうございました。

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