Jena製標準のダブルガウスのスタンダード
おすすめ度
購入のしやすさ 7/10
長期間製造されたモデルですので、それなりに見かけます。Planarの陰に隠れ、あまり人気ではないモデルです。さらに、F2の地味なスペックから、1万円以下で見つかることもあります。
使いやすさ 6/10
最短撮影距離0.5mで、寄れるレンズです。しかし、レンズ先端部を、指でつまんでピント調節をすることになるため、操作性は高くありません。
現代レンズと比較した描写の独自性 7/10
開放では、ダブルガウス型らしく、ぐるぐるボケなど後ろボケが派手に暴れます。後ろボケが暴れます。また、周辺減光も見られます。2段絞ると、収差はほぼ消えます。絶対に開放で使うべきレンズです。しかし、絞ったとしても、カリカリではなく、コントラストが高くなりますが優しさは残ります。
総合 7/10
F2のモデルは、根気よく探すと、Helios 44くらいの価格で購入可能です。BiotarやPlanarの陰に隠れて地味なモデルですが、Biotarが高騰していますので、Carl Zeissの典型的ダブルガウス型であれば、おすすめなモデルです。
モデル詳細
Pancolar 50mm F2は、Carl Zeiss Jenaが、Biotar 58mm F2の後継レンズとして、1957年からFlexonの名称で販売し、1959年からは Pancolar に名称変更して、1969年まで製造したレンズです。レンズ構成は、Biotar 58mm F2と同じ、4群6枚の典型的なダブルガウス型です。1965年から、 トリウム含有のF1.8や、5群6枚の変形ダブルガウスのF1.8も併売されていました。Pancolar 50mm F2は、M42マウントとExaktaマウントが製造されたようです。鏡筒デザインは、今回購入したゼブラ型や、シルバー鏡筒のモデル、ゴム(ガッタパーチャー)巻きなど多様なデザインがあります。
個体詳細
この個体は、ゼブラ型の外観で、Exaktaマウントのモデルです。シリアルナンバーは8,399,***で、camera-wiki.orgによれば、1968年頃の製造のようです。aus Jenaは、ドイツが東西に分断された後に、Carl Zeissと名乗ることが出来なくなり(Carl Zeiss名に制約が出てきたため)、Jena製を意味する表記にしたようです。同時期のモデルには、C.Z. などの表記もあり、どの様に使い分けたのか、正確なところは不明です。おそらく、aus Jenaは、西ヨーロッパ向けの輸出用だったのではないでしょうか。
ebay経由で、米国南部の、一般出品者から購入しました。購入時の状態は、外観がほこりまみれで、ヘリコイドが重めでした(この時代のものはグリスの交換時期に来ているみたいですね)。しかし、光学性能、前玉の若干のカビのみ、良好でした。絞りも、Exacta のシャッターボタン連動(自動絞り機構)が機能し、良好な状態でした。
撮影準備
本レンズには、リアキャップが付属していませんでした。そこで3dプリンターでExaktaリアキャップを出力しました。ただし、このキャップは、Carl Zeiss JenaのExaktaレンズには適合しますが、A.Schacht UlmのExaktaレンズには、小さすぎました。
撮影(作例)
今日もドッグランで遊びました。
ある程度絞ると収差がほぼ無くなり、クセのない描写になります。
このレンズ、絶対に開放で使う仕様ですね。。。。。
ダブルガウスの特徴の、ぐるぐるボケも容赦なく出現します。さらには、背景(後ろボケ)がザワザワしています。この怪しい雰囲気、大好きです。
周辺光量落ちもあります。
開放で使ってみます。
いつもの公園で、階段を上らず、ズルして上がります。
後ろボケはぐるぐる、ザワザワしています。
当然ですが、逆光には強くありませんが、それでもこの時代のMeyer等と比べると、上手く抑えています。
当然、絞り込めば、見違えたようにシャキンとします。
ありがとうございました。