玉ボケが出ない、滲むクセ玉
おすすめ度
購入のしやすさ 2/10
低価格ですが、広角の流通個体は非常に少なく、難易度は高めです。
使いやすさ 2/10
50mmという焦点距離は、汎用性が高く、非常に使いやすいです。しかし、前玉が小さく、かつ回しにくいため、フード装着しないと、焦点距離調整は至難の業です。さらに、焦点距離移動に対して、調整量が極少で、撮影の難易度は非常に高いレンズです。
現代レンズと比較した描写の独自性 9/10
全体的に青が強く、カメラのホワイトバランスが頑張りますが、追いつけないと盛大な青かぶりが出ます。また、滲みが激しく、これは現代のレンズだと、ブラックミストでAF合焦が迷うレベルです。絞り込んでなんとか使えるレンズです。さらに中央の解像が悪い。。。。。
総合 2/10
操作性が良くない、かなりのクセ玉です。かなりマニアな人向けです。
モデル詳細とこの個体
このレンズには、IBSOR社製のシャッターが付けられていますので、恐らくスプリングカメラに付けられていたものと想像できます。購入は、ebay経由で、アメリカの出品者から、送料込みで1万円以下で購入しました。購入時にはシャッター膜が外された状態で、一部が欠品した状態でした(後述)。
本レンズには、558,***のシリアルNOが付いています。camera-wikiによるとMeyerのシリアルNOはいくつかの説がありますが、1930~1935年に製造された個体であることには間違いがなさそうです。
Trioplanは、Meyer Optik Görlitzの3枚玉に付けられる名称で、50mmのTrioplanは、1952年から販売されているMeyer-Optik Görlitz Trioplan 1:2.9/50 Vが有名です。50mm F2.9は、バブルボケで有名ですが、今回のTrioplanは、玉ボケが出にくい個体(モデル)です。これは、レンズの大きさや配置、形状や表面処理が無いことなどが異なるのかもしれません。その代わり近接撮影において、ぐるぐるボケが出ます(かなり出にくいですが)。
また、このレンズの個体(汚れや傷状態の)せいなのか、それとも元々この様な性能なのか、開放付近では、めちゃくちゃ滲みます。これは幻想的な雰囲気になります。
撮影準備
カメラへの接続
レンズをカメラに接続するにあたり、フランジバック調節のため、3dプリンターで13cmのチューブを出力しました。カメラ側ネジ系は42mmですが、フランジバックはL39と同等になります。
購入時から判明していましたが、本レンズにはネジストッパーが付属していませんでした。おそらく腐食劣化したのか、ベローズと共に廃棄されたのでしょう。カニ目レンチ用の穴を開けたナットを作りました。
滲み対策
滲み玉ですのでレンズフードを作成しました。幸いなことに、このモデルのハウジング先端には、ネジが切ってあります。そこにねじ込みます。これを装着することで、フードを回して焦点距離調整が可能になりました。また、今回の撮影で、四隅がけられることがありました。そこで、フードの形状を改修しました。
レンズキャップ
スプリングカメラ用のレンズですので、レンズ前面のキャップは、存在しません。保管・移動時に心許ないので、レンズキャップを作成しました。通常、被せキャップを検討しますが、ハウジングのシャッター速度調節エリアと、レンズとの間のクリアランスが少ないため、ネジはめ込み式のキャップとしました。
レンズ可動領域の調整
購入時には青矢印のネジが欠落しており、前玉が最短撮影距離を超えて、外れる状態でした。ジャンクカメラを分解した時に出てきたネジを用い、最短撮影距離で止まるようにしました(青矢印)。
無限遠側は、無限遠を超えて、ヘリコイドを締め込むことが可能でした。腕時計の裏蓋用の直径8mm 断面0.7mmのシリコンリング3本を、オレンジ矢印の部分に入れて、無限遠よりも後に下がらないようにしました。
撮影(作例)
昼間撮影
いつもの公園でにきました。桜が散って、静かになっています。
大きくて立派なチューリップが咲いていました。
このレンズの白色の滲みがやばいです。しかも、「中央」が、特に画質悪い(フード小さすぎる??)。
かわいトイプードルちゃんにご挨拶出来ました。
しかも、ぐるぐる・・・。レンズ欠点の見本市です。正確に言うと、個性豊かで、愛くるしいレンズです。
ツツジが満開です。今年は、もうGW並の暖かさなんですね。
歴代オーナーは、こんなクセ玉どうやって使っていたのでしょうか? フィルムカメラなら、仏の心が無いと、現像から上がった瞬間に発狂しそうになります。ミラーレスでは、EVF越しに、微笑んでいられますが・・・。
サボテンの花って色々あるんですね。
パピヨンくんにもご挨拶出来ました。
静かな公園も良いものです。
お散歩の途中のコンビニで、店外で留守番中です。
待ち人 帰ってきました!
夜間撮影
別の日に、近所の公園で夜桜を見ました。
夕刻から夜に光が少なくなると、滲みが減ります。
昼間のダメさが、打って変わって、普通になります。
あっという間に 桜が散っています。
黒パグちゃんに会えました。
たくさんのワンちゃんにご挨拶できました。
ありがとうございました。