二線ボケとUNIマウントの呪縛
おすすめ度
購入のしやすさ 10/10
一時期よりも中古流通量は少なくなりましたが、数百円~と格安です。
使いやすさ 3/10
マウントアダプター、リアキャップ問題を解決すれば、標準レンズとして大活躍出来ると思います。最短撮影距離0.7mはやや長めです。
現代レンズと比較した描写の独自性 4/10
最新レンズの、カリカリな解像感は得られません。しかし、コントラストは、現代レンズ並に高く、すっきりとした描写です。二線ボケが出てきて、怪しいボケです。解像感とボケ以外は、現代の普及帯レンズと遜色がありません。素直に東京光学の優秀さが理解できるレンズです。
総合 3/10
使えるようになれば(使える環境が整えば)普通に使えるレンズです。しかし、マウントアダプターを、購入調達してまで使う意義は少ないため、万人におすすめ出来るものではないです。優秀な東京光学に思い入れのある人、是非おすすめです。
モデル詳細
LENS-DB.COMによると、東京光学(現在のトプコン)が、1963年から販売したTOPCON UNIの標準レンズで、4群6枚のダブルガウス型です。UV TOPCORの、UVとは紫外線を除去する、UVフィルターと同じ効果を持たせたバルサムを用いたためみたいです。
このレンズはUNIマウント(UVマウント)です。UNIマウントは、バヨネットマウントかつ、カメラ側から絞りを制御するものです。この複雑な機構は、デッケルマウントと同様に、マウントアダプターを制作する上で、非常に高い障壁になります。さらに悪いことに、TOPCON UNIは、比較的廉価なカメラで、用意された交換レンズが暗めのため、交換レンズは正当な評価を受けていません。これらの理由から、マウントアダプターが大手から販売されず、市場価値が2024年現在も、低いままです。
東京光学は、大日本帝国陸軍に要請されて、服部時計店精工舎の測量機部門を母体とし創立した会社です。現在は、民生用カメラこそ製造していませんが、計測・光学機器の先端製品を製造している会社です。もう少し評価が高くても良いとは思うのですが・・・。
UNIマウントの交換レンズ全般に、後玉が小さくなっています。これは、UNIマウントの構造の複雑さによるものなのでしょうか?このモデルは、この時代のレンズには珍しく、全群繰り出し式でピント調整をします。
このレンズの、最大の欠点はマウントですが、その次は最短撮影距離の長さです。
しかし、この最短撮影距離の表記は「0.7m」になっていますが、実際は、下の写真のようにもう少し寄れます(0.6mくらいです)。
レンズ個体
このレンズは、ヤフオクで数百円で購入したものです。前後レンズキャップは無しでしたが(標準レンズのため、リアキャップが付属するのはレアだと思います)、絞り機構は問題ないとのことでした。
光学系には、カビとコバハゲがありましたが、簡単な前玉外しで除去できました。コバハゲに対しては、対応していません(墨かアクリル絵具を塗れば良いんでしょうが・・・)。
フロントレンズキャップは、フィルター径49mmの汎用品を用いました(下手をするとレンズ代より高価になりますね)。
リアキャップは、3dプリンターで出力しました。
マウントアダプター
自作
私は、2021年頃、ヤフオクで、UNI – ヘリコイド付き – SONYを数千円で購入しました。
出品者によると、UNIのカメラを分解し、マウント部と市販品M42ヘリコイドをパテで連結したものとのことです。このように、UNIマウントアダプターは、カメラのマウント部を流用した自作が、主要です。当時は、シャッターの壊れたUNIカメラが、千円程でヤフオクに出品されていましたが、2024年現在あまり見かけることが無くなりました。
UNI-SONY Eマウントアダプター
UNI-SONY Eマウントアダプターは、Aliexpressで販売されています。
私は、ELEFOTOさんが、この試作品をメルカリで販売されていたものを購入しました。これは、非常に良いものです。絞り値が確認出来ないのと、ヘリコイドを付ける余地がないので、長い最短焦点距離を、そのまま使用しなくてはなりません。しかし、壊れるかもしれないと気にならずタフに使えるのは、利点です。
UNI-LMマウントアダプター
muk カメラサービスさんが、作製されていました! 絞り値が確認できそうにありませんが、カメラ側がLMマウントのため、ヘリコイドアダプターを挟み込めます。これは、最短撮影距離を縮めるのに有利です。私はこのアダプターは所有し得ていいませんが、UNI – MDをもっていますので、UNI-MD + MD-LM + LM-ヘリコイド-NEXの3連で5mm繰り出したところ、最短焦点距離が0.6mから0.3mまで縮まりました。
撮影にあたって
今回は上記 UNI – ヘリコイド付き – SONYマウントアダプターを使用します。
このヘリコイドを最大延長すると、最短焦点距離が0.2mになります。
このレンズは、もともと全群繰り出し式ですので、気兼ねなくガンガン繰り出せます。
撮影(作例)
4月なのに、5月中旬並の暖かい日でした。
ダブルガウスらしい、空気感を演出するレンズです。
桜は満開です。
つくしも顔を出しています。春まっただ中です。
少し絞ると、シャープな描写になります。
今日もワンちゃんとご挨拶出来ました。
開放の近接では、怪しさ全開の面白いレンズです。
Carl Zeiss Planarとほどとは言いませんが、絶対に数百円ではない、価値のあるレンズです。
マウントアダプターだけが問題ですね。
最後まで見ていただいてありがとうございました。