SOM BERTHIOT CINOR PROJECTION 50mm F1.5

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ぐるぐるボケを十二分に堪能できるレンズ

おすすめ度

購入のしやすさ 2/10

SOM BERTHIOT CINOR PROJECTIONは流通量が限られており、見つけるのが困難です。プロジェクターレンズでありながら、Petzval式レンズと同様の描写(おそらくPetval型)であるために人気で、中望遠は非常に高価な価格が付与されています。その中で、この50mm F1.5はイメージサークルが小さいことと、フランジバックが短いこともあって、€100未満で購入できました。

使いやすさ 1/10

使いにくい点

  • プロジェクターレンズであり、ヘリコイド機構を持っていませんし、絞り機構も持っていません。
  • 絞りがないのに、明るさF1.5は、明るい屋外で使うには向いていません。
  • バックフォーカスが短いため、マウントアダプター設計の自由度が少ない。
  • 鏡筒は直径42.5mmと大きく、レンズとハウジングの間はM42×1ネジになっています。
  • イメージサークルは小さく、APS-Cでも若干ケラレます。

使いやすい点

  • 圧倒的なボケのため、ピントの山は、非常に明確です。

現代レンズと比較した描写の独自性 10/10

強烈な個性を持った描写です。後ろボケは凄まじくぐるぐるします。前ボケは放射状に流れます。

総合 1/10 (9/10)

非常に個性的なレンズです。購入してから、ハウジング、マウントアダプターの作製と、絞りユニットの追加、ヘリコイド機構の追加など、課題が山積です。絶対に安易に購入することはおすすめしません。これらの課題を克服すると、独自の描写が堪能できます。

このモデルと個体

このレンズについて、残念ながら、殆ど資料を見つけることが出来きませんでした。そんな中、 Espen Susortに2群4枚の構成図が掲載されていました。本レンズは確かに、前群と後群に分かれます。気になる点は、古典的なPetzval型の様に、後群の空気層の有無です。この点は不明でした。貼り合わせ内に空気層を混入するのは、困難が予想されるため、Espen Susortに掲載される2群4枚が、妥当と思います。

この個体はebay経由でフランスの出品者から購入しました。前玉側面には、SOM BERTHIOT CINOR 50mm 1.5 PROJECTIONと記載があります。Serial Numberは534,***ですので、無一居さんの表から、1944年頃の製品であることが推察されます。このレンズは、8mm フィルムのプロジェクター用だったのでしょうか。

撮影準備

このレンズユニットのバックフォーカスを探ると、NEXマウント面から、わずか数ミリしか余裕がありません。加えて、前群も後群もM42×1のネジで、直径42.5mmの鏡筒に固定されています。この鏡筒を使用して、マウントアダプターを設計するとなると、大型になり、難易度が高くなります。

そこで、オリジナルの金属製鏡筒の使用をやめて、独自の鏡筒を使用することにしました。このことで、後群レンズユニットをヘリコイドアダプター内に格納し、絞りユニット(M42-M42)を追加することが可能になりました。

STLダウンロード Part1~Part4

レンズと絞りユニット(M42-M42)Part1, Part3, Part4を結合したものを、M52-M42ヘリコイド(22-55mm)内に挿入して、固定しました。

これを、M42-NEX(SONY Eマウント)プレートに固定して、撮影を行います。

これで、確実に無限遠が出ました。

Lens Hood

Front Cap

Rear Cap

 

 

撮影(作例)

 

フルサイズでは、イメージサークルが圧倒的に不足しています。

APS-Cクロップ(トリミング)でも周辺がケラレます。

ボケの特徴として、遠景がぐるぐる回るボケで、近景は放射状に広がるボケです。

圧倒的なぐるぐるボケを堪能できます。

絞ると、シャープになります。

開放で遠景に合わせるとボケが流れます。樽形の歪みも激しく出ます。

耐逆光性能は低く、フレアが出ます。

開放値が明るいので、夜間もある程度こなせます。

 

 

ありがとうございました。

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