再利用レンズを合わせたら、収差のデパートだった
おすすめ度
購入のしやすさ 10/10
使用済みの写ルンですを2つ使用します。1つあたりは、高くても送料込みで300円程度で購入できます。「レンズ」として考えると非常に格安です。おそらく最安価な17mmレンズだと思います。
使いやすさ 5/10 (6/10)
写るんですの分解は非常に易しく、初見でも3分で終了します。しかしながら分解してカメラに取り付けなくてはいけません。その点で使いやすさは低く評価せざるを得ません(5/10)。
マウントアダプターが完成すれば、軽量小型なレンズです。2m~無限遠はヘリコイド操作が不要です。
しかし、映し出される像は、周辺光量落ちが激しく、歪みも大きく、かなり悲惨なものです。
大きさ・重さかは使いやすさ10/10のレンズですが、使いこなすのは大変難しいレンズです。
現代レンズと比較した描写の独自性 10/10
製作元のFUJICOLORですら販売しなかった組合せです。おそらくすべての収差が現れます。これらに溺れる覚悟が必要です。
- フルサイズセンサーでは、激しい周辺光量落ちが現れます(イメージサークルが足りていません)。
- 「歪み」とは言えないレベルで、周辺が歪みます。
- 非点収差(ぐるぐるぼけ)が激しく表れます。
- 色収差も激く出ます。
総合 5/10
最も安価な17mmかも知れませんが、これを製作する時間とそこから出てくる像を考えると、あまりおすすめ出来るものではありません。評価できるのは、晴天下で斜光~逆光で、リバーサルフィルムのような像が得られます。GIZMONから販売されているものは、F10表記ですので、おそらく絞りの開口を狭くして、もう少し調整がなされていると思います。
このレンズについて
2つの写ルンですのレンズユニットを分解し、レンズのみを取り出しました。絞り板を作製して、レンズとレンズの間に挟みました。これらを、ブロックに埋め込みました。2群2枚のTOPOGON型ですが、オリジナルの足下にも及ばない描写になります。
写ルンですの絞り開口部を参考に、絞り板の開口部を図面上 Φ 3mmとしました(実測Φ2.9mm)。これで、実測16.5mm F8 のレンズユニットになりました。
写ルンですの分解・試写は下を見てください。
この2枚合わせは、普通の写ルンですの収差が、2倍以上になってあらわれます。
撮影準備
2つの写ルンですを分解し取り出したレンズユニットをさらに分解して、レンズのみを取り出します。
この2枚レンズの間に絞り板を挟み込み、上部構造と下部構造との間で固定します。
マウントははL39に合わせています。
これで、焦点面可変式の17mm F8 激安広角レンズ(大量収差つき)が完成しました。
↑を出力します。
L39マウントにL39-LMマウントアダプターを挟んで、LM-NEXヘリコイド付きマウントアダプターを用い、このヘリコイドで合焦操作を行いました。2m~無限遠はヘリコイド操作が不要です。
結果として「超パンケーキレンズ」になりました。
撮影(作例)
なんとか、中心部は解像しています(解像度は低いです)。
周辺光量は当然落ちます。
条件によっては、ぐるぐるボケが激しく暴れます。
斜光~逆光では、フレア&ゴーストが暴れます。
周辺部は悲惨なほど荒れます。一部では、APS-C専用として売られているのも納得です。
RAW現像を行っていますが、まるでリバーサルフィルムのような懐かし色です。
光量によって、全く印象の変わる像を出してくるレンズです。
大きさは使いやすいですが、使いこなすのは大変難しいレンズです。
ありがとうございました。