VALDAI Helios-44M 58mm F2

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時々だけぐるぐるボケでも、ソ連製を堪能できるレンズ

おすすめ度

購入のしやすさ 6/10

Helios 44は「ぐるぐるボケ」で、非常に人気のあるレンズで、多くのバージョンが存在します。そのなかでも、KMZ製の初期モデル(M39)はUS$200~と高価ですが、VALDAI製は比較的安価な傾向です。加えて、44 > 44-2 > 44M・・・とマルチコートモデルは安価な傾向にあります。各バリエーションで多く製造され、中古市場の流通量も多くなっています。Mモデルですと、1万円程度~が妥当な価格のようです。

使いやすさ 7/10

このHelios 44Mは、重量288g(実測)で、重めです。

汎用性の高いM42マウントは評価に値します。

この個体は、ソ連製によくある(寒冷環境でも機能する)重めのグリスが塗られているせいで、フォーカスがやや重めです。このモデルは、純正ヘリコイドを用いても、全群繰り出し式のようです。マウントアダプターを、ヘリコイド付きのものを用いて、それで合焦させるという手段も可能です。

私の個体では、M42マウントが一部太くなっており、マウントアダプターを選びます。

現代レンズと比較した描写の独自性 5/10

非点収差はかなりコントロールされており、ぐるぐるボケが出にくいモデルです。単純にぐるぐるボケを期待するならば、他の選択肢の方が良さそうです(減点要素)。

周辺部の光量落ちが出てきます(加点要素)。

旧ソ連製のレンズらしい、暗めの色のりの良くない描写が得意です(加点要素)。

VALDAI 製はKMZ製よりもシャープさが落ちると言わています。私自身は、比較していませんので不明ですが、少なくともこの個体は絞り込むと、適切にシャープさは増します。

一方でハッとするような抜けも期待できないレンズです(加点要素)。

総合 6/10

人気のM42で、ダブルガウス型(Helios)です。非点収差(ぐるぐるボケ)のみが話題になりますが、少なくともVALDAI Helios 44Mは、近接で環境で開放でないと「ぐるぐるボケ」は出ません。宣伝文句が独り歩きしている感が強いレンズです。同じダブルガウス型であれば、Canon FL 50mm F1.8のほうがぐるるぐボケは出ますし、トリプレット(Meyer Görlitz Trioplan 50mm F3.5)も相当でます。

このレンズを「ぐるぐるボケ」だけに、期待して絶対に買わないでください。想像以上にぐるぐるボケは出ません。期待が高いと、買った後にがっかり度も高くなると思います。

それよりも、暗い色調や周辺光量落ちなどを堪能するのが、このレンズのおすすめだと思います。

このモデルと個体

Helios 44シリーズは、Carl Zeiss のBiotarをコピーした旧ソ連製で、1953年から、主にKMZ工場と Valdai工場で生産された4群6枚のレンズです。Zenit cameraの記録では、44Mは1980年から多層コーティングとして製造されているようです。

Heliosと命名されるレンズはHelios33もそうですが、ダブルガウス型です。Zenit cameraに44Mの設計図がありましたので、トレースしました。

この個体のシリアル番号は、83*****ですので、1983年製です。フロントにVALDAI(Jupiter Optics)工場のマークですので、VALDAIで製造された個体です。

Helios44シリーズの多くは、M42マウントを備えているため、旧ソ連製レンズ入門機として広くおすすめされています。ダブルガウス型一般に現れる、ぐるぐるボケをこのレンズの特徴とするキャッピコピーも散見しますが、少なくとも、VALDAI工場のHelios44Mは、ぐるぐるボケはかなり制御されており、「出ることもある」程度です。

撮影準備

このレンズのヘリコイドには、ソ連製によくある重めのグリスが塗られていました。決して、重すぎはしませんが。 よく表現すれば「適度なトルク感」ですが、動きものを撮るには不向きです。

分解&再グリスアップを視野に入れ、ヘリコイド機構をよく観察すると、このモデルは全群繰り出し式のようです。

そこで、距離計は使えなくなりますが、M42-NEXヘリコイド付きマウントアダプター(M42)のヘリコイド合焦させることにしました。

しかし、少なくともこの個体に限っては、下のようにM42ネジ中央部が膨らんでいます。

私の手元にあるもので、試しましたが、ピン押しをする/しない という違いはありますが、全てで無限遠が出ました。

Pixco M42-NEX ヘリコイド付きマウントアダプターのヘリコイドでフォーカシングを行います。このアダプターでは、ピンは完全に押し込めますので、側面ノブがAモードでもMモードでも、絞り込むことが可能です。


(バシュポ) Pixco ヘリコイド付きマウントアダプター M42レンズ-ソニーNEXカメラボディ対応 m42-NEX
(楽店)

 

撮影

ぐるぐるボケが出そうですが、何とかギリギリの所で止まっている感じがします。

弱く、ぐるぐるしています。

周辺光量が落ちます。

 

彩度が低めの描写をします。 

鮮やかな色は苦手な印象です。

斜光~逆光ではフレアが発生し、コントラストが低下します。 

ありがとうございました。

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