近接で素晴らしい立体感を表現する
おすすめ度
購入のしやすさ 6/10
人気のあるDagorよりも流通量は多く、安めになっています。1万円を切る価格から販売されています。
使いやすさ 3/10 (8/10)
カメラに接続することが、最大の問題です。延長チューブやステップアップリング等を駆使している人もいます。3Dプリンター出力以外なら、M42カメラボディーキャップに穴を開けるという方法をおすすめします。次の問題は、このモデルはヘリコイドがありませんので、ヘリコイド確保です。これらが解決されれば、かなり使いやすいレンズです(7/10)。コントラストこそ高くはありませんが、ピントの山も見やすく、合焦作業は楽です。耐斜光~逆光性能は高くありませんが、フードを付けることで解消可能です。
現代レンズと比較した描写の独自性 7/10
最新レンズの、カリカリな解像感は得られません。その中で表現される立体感は圧巻です。前ボケも後ボケも、ダイアライト型の特徴である、幻想的なものになります。
総合 4/10 (8/10)
使える環境を整えるのが困難なので、4/10という評価です。これを克服できれば、幻想的なボケが表れる、優しい描写のオールドレンズらしい描写が味わえます。私自身はDAGORよりも好みです。
モデル詳細
Camera-wikiによると、巨匠GOERZ 社が、DOGMARを新モデルとして導入したのは1916年以降です。Doppel-Anastigmat Series 1B, Celorを改良して、Dogmarが誕生しました。Dogmarは空気レンズを特徴とする、4枚4群のDialyte型です。
本モデルは、COMPUR社製のシャッターが装着されていますが、レンズ自体にはヘリコイドがありません。
レンズフィルター径は、27mmです。
この個体について
購入は、米国の出品者からebay経由です。オリジナル塗装が剥がされた(劣化したのか?)状態で、販売されていました。シャッターは機能する状態でした。GOERZ社の一部のモデルには、金メッキ塗装されたものがありますが、それとは異なります。
GOERZ社のシリアル番号は539***
COMPUR社のシリアル番号は258***
さらに、レンズには、“D.R.P”の表記と、シャッターには、“D.R.P”と“D.R.G.M.”の表記があります。これは、Deutsches Reichspatent:ドイツ帝国特許、Deutsches Reichs Gebrauchs Muster:ドイツ帝国使用意匠の意味です。
COMPUR社のシリアル番号から1914の製造とわかります。
GOERZ社のシリアル番号から1922~23年の製造です。
このレンズは、今から100年以上前(大正時代)の製造であることがわかりました。シャッターと8年ほど差があるのは、当時では一般的だったのでしょうか?それとも、壊れた等の理由でリプレイスされたのでしょうか?
撮影準備
フランジバック調整と、ヘリコイド付与のため、M42ネジ径でフランジバック調整を行って、ヘリコイド付きマウントアダプターでレンズ送りを試みます。
5cmの鏡筒を作成し、先端にレンズを取り付けます。
メンテナンスの都合で、2ピース(上部と下部)に分けて出力します。
レンズフィルター径は、27mmですので、レンズキャップを探すのは困難です。
そこでキャップを出力しました。
DOGMARは逆光耐性が高いようですが、やはり、無コーティングレンズです。
フードを装着することで、コントラストが向上します。
そこで、フードを出力しました。
内面反射防止は、以下を行いました。
撮影(作例)
シャープすぎ無いですが、100年以上前のレンズとは思えない絵を出してきます。ボケがダイアライト型の特徴的です。
パグちゃんにご挨拶出来ました。
F4.5ですが、ピントが薄めで、山が見えにくいです。
シャドー部の階調が、すごいです。
ピントが合うと、シャープです。
現代レンズかと思うほど、立体感がすごいです。
3ヶ月のパピーくんに遊んでもらいました。
お友達と会えました。
みんなにご挨拶できで、ご機嫌です。
このレンズは、アンダーでは寒色系に転びます。
白黒フィルム時代の産物ですね。
いつものドッグランで、いっぱい遊べました。
近接も、描写はソフトです。
桜がもう開きそうです。
今日もいっぱい遊べました。ありがとうございました。