PETRI C.C. Auto 35mm F2.8

レトロフォーカス型の良さ（収差の味わい）を詰め込んだレンズ

おすすめ度

購入のしやすさ　7/10

Petriマウント（Petri Penta V system）のレンズは、アダプターの流通量が少ないために、人気が無く、安価で流通しているモデルがほとんどです（その希少性から、C.C Auto 21mm F4のみがコレクターズアイテムとして高騰しています）。Auto 35mm F2.8は、数千円で状態の良いものが購入可能です。

使いやすさ　3/10　（7/10）

マイナーな、Petriマウントです。マウントアダプターを準備することが、最大のハードルです。マウントアダプターの入手方法が制限されています。重量は230ｇで、やや重く感じます。最短撮影距離は0.5mと長めです。現代の感覚では、あと20cm寄れると使い勝手が向上します。逆光耐性は、やや低めです。もし、マウントアダプター問題が解消できるのであれば、使いやすさは7/10の評価です。

現代レンズと比較した描写の独自性　7/10

開放では、中心部であっても解像感に欠け、周辺光量落ちが起きます。遠景では、弱いぐるぐるボケが発生します。F5.6まで絞ると、中心部の解像力がアップしますが、それでもシヤープな描写ではありません。F8まで絞ると、中心部はシャープです。周辺の解像も比較的良好になりますが、シャープではありません。半逆光～逆光では、フレア、ゴーストが発生します。これぞ、「レトロフォーカスの典型」というような、渋い描写をします。十分にオールドレンズの魅力を感じることが出来るモデルです。

総合　3/10　（7/10）

「これぞ、レトロフォーカス型レンズ」といった描写をする、大変魅力的なレンズです。価格も十分に安いと思います。しかし、Petriマウントのアダプターの入手困難さを考えると、おすすめ度は低く評価せざるを得ません。新たに、高価なマウントアダプターを入手してまで、購入するべきモデルでは無いと思います。もし、すでにPetriマウントのアダプターを所有している人ならば、非常におすすめの１本だと思います。

このモデルと個体

PETRIの情報が詳しく載っているpetri @ ウィキによると、この初期型35mm F2.8は、5群6枚で、Tessar型の前方に2枚を追加した、典型的なレトロフォーカスです。spiralさんの記事によれば、Angenieux Type R1に酷似しているとのことです。Petriマウントの35mm F2.8は、C.C Auto 35mm F2.8と C.C Auto 35mm F2.8 EEがあります。LENS-DB.comによれば、EE無しは1964年から販売され、EE有りは1969年からの販売となっています。petri @ ウィキのデーターでは、EE有りは、同じ5群6枚ですが構成が異なり、Tessar型を前後の補正レンズで囲む構成のようです。

この個体はヤフーオークションで数千円で購入しましたが、リアレンズキャップが付属していませんでした。

撮影準備

ペトリマウウントアダプターの入手

ペトリマウウントアダプターの入手方法は、次の4つが考えられます。

1．muk camera serviceさんに依頼して、ABS製の、ライカM用マウウントアダプターを制作してもらう。

2．ebayでrareadapterstxさんから購入する。

3．Petriの中古カメラを購入してマウント部分を外し、これを金具として自作する。

4．ヤフーオークションやメルカリ等で購入する。

1と2が最も常識的な選択肢だと思います。以前にmuk camera serviceさんに他のマウウントアダプター作製をお願いしましたが、USで作製して輸送される2と比べて、非常に短期間で入手出来ました。3は難易度が高くありませんが、①最近、流通しているPETRIのジャンクカメラ個体数が激減したため、カメラが高騰しており安い個体を見つけるのが困難です。加えて、②LMマウント用ですと、L39-M4/3マウントアダプターや、L39-LMが必要であり、結果として1か2と価格差が少なくなると思います。最近、4の出品は少なくなっていますが、最も安く入手可能な選択肢ではあります。

左：上記3　　　右：上記2（Petri-L39）＋ L39-LMアダプター

 

撮影（作例）

F8まで絞り込むと、中心部の解像は気にならなくなります。周辺光量落ちも気になりません。

しかし、樽形の歪み（歪曲収差）は解消されません。

開放では、周辺光量落ちが激しくなります。

条件によっては、合焦面よりも中遠景でぐるぐるボケ（非点収差）が発生しそうです。

逆光では、当然ゴースト＆フレアが発生します。

ありがとうございました。