KODAK Enlarging Ektar 75mm F4.5

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引き延ばしレンズ、Heliar型のEktar

おすすめ度

購入のしやすさ 5/10

Ektarのうち3群5枚、Heliar(Dynar)型のものは、非常に人気が高く高騰しています。その中において、Enlarging (引き延ばし)レンズは、比較的安価なため救世主です。しかし、流通量は少なめです。

使いやすさ 5/10

 当然ですがヘリコイドがなく、ヘリコイド付きマウントアダプターによる合焦が必要です。残念なことに、一般的な引き伸ばしレンズで用いられるM39ではないことに注意が必要です。直径30mm(おそらくM30になっています。この点、マウントアダプターの目星を付けてから購入に踏み切る必要があります。減点要因は、全てマウントアダプターの用意が出来るか問題です。

マウントアダプターが用意できたならば、使いやすさは、7/10の評価です。小型、軽量な中望遠レンズで、描写は癖のない素直です。ある程度の反射防止コートもなされていますが、逆光耐性は強くありません。逆光ではコントラストが低く、色のりが悪くなります。開放がF4.5は暗いですが、絞って使う用途ですので納得です。

現代レンズと比較した描写の独自性 6/10

描写のクセは少ないレンズです(減点要素)。開放では滑らかなボケですが、現代レンズと比較すると、古典レンズらしさは十分に味わえます。逆光では低コントラストになりがちですが、順光ではこってりとした色のりです。

総合 6/10

Heliar(Dynar)型でEktarブランドです。しかし、引き延ばしレンズであるため、設計思想、用途が異なります。万人にはおすすめ出来ません。物好きな方には、是非とも試して欲しいレンズです。

このモデルと個体について

構成図がDP Reviewに掲示されていました。これによると、Enlarging Ektarでも3群5枚のHeliar(Dynar)型とは限りません。注意が必要です。この資料で確認出来るのは、同型シルバー鏡筒のうち、2 inch (50mm) F4.5と3 inch (75mm) F4.5のみです。4 inch (100mm) F4.5はDialyte型です。また、Lマークについて解説があるページでは、Lマークは乱反射防止コートのことだそうです。

シリアルNoはEO***で、解説ページの資料から、1946年製とわかりました。当時、コダクロームは販売されていましたが、超低ISOで常用できなかった時代を考えると、引き延ばしの客体は白黒だったのでしょう。そう考えると、順光でこのような色のりの良さは、素晴らしいと評価せざるを得ません。

この個体はebayで米国の販売者から、相場よりも安く仕入れました。購入後にバラそうとすると、座金が金属ボードと固着しており、通常の力では外せませんでした。ボードごとマウントアダプターを作成しようと考えましたが、フランジバックとボードの大きさを考えると、設計が煩雑になります。また、金属ボードを含んだ重量が重くなるため、座金を切削して破壊することで、ボードから外しました。結果として座金は接着や溶接されていた訳ではなく、適切に嵌まり込んでいました。もしかすると固着は、新品販売当初からの仕様なのかも知れません。

撮影準備

ペンタックススクリューマウントにフランジバックを調整し、M42でアダプターを作成しました。レンズ側は、オリジナルのネジM30に合わせています。

日本ブランドの引き延ばしレンズは、反射防止コートがされていません。このレンズLマーク付きで、逆光耐性はある程度は確保されます。しかし、屋外使用ではフードが必須です。

リアキャップM30も作成しました。

M42-NEXヘリコイド付きマウントアダプターでフォーカスを合わせます。


(バシュポ) Pixco ヘリコイド付きマウントアダプター M42レンズ-ソニーNEXカメラボディ対応 m42-NEX

内面反射防止は、以下を行いました。

Carl Zeiss Jena Biometar 80mm F2.8

 

撮影(作例)

F8に絞るとシャープに解像します。

開放は柔らかくなります。F4.5は開放から十分に使えます。

一部、二線ボケが現れます。

白で滲むのはかなり抑えられています。Lマークコートの影響だと思います。

Lマークのコートは、かなり有用です。

 

しかし、フードを付けても逆光では完全に破綻しますし、フードを付けても一部の迷光が入って、画面の一部(または全部)が低コトラストになります。

 

ありがとうございました。

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