Steinheil München Culminar VL 85mm F2.8

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絞ると難易度が増加する問題児、湿度を写すような描写

おすすめ度

購入のしやすさ 4/10

国内流通量は少なめですが、ヤフーオクションではよく出品されています。価格は1.5万円~と高めですが、人気の85mm、L39マウントを考えると、妥当かも知れません。

使いやすさ 4/10

長さ73mm 直径49mm 重さ280g コンパクトではありませんが、携帯性には優れます。焦点距離85mm、L39マウントは評価できます。フレア、ゴーストが発生します。その頻度は、しばしばではなく、たまにです。ですから、フードは特に不要なレベルだと思います(発生するときはフードを付けても制御が難しいと思います)。最短撮影距離1mは少し長めです。フォーカシングでレンズ先端が回転しますので、絞りの指標も回転してしまいます。しかし、使いやすさを低く評価する理由は、他にあります。開放では特に気にならないのですが、絞った時に中央が白くなります。そしてこの部分の解像度が落ちます。かなり癖のあるレンズです。

現代レンズと比較した描写の独自性 8/10

開放の解像度は低めです。線の太い、淡い色の低コントラストな描写です。時々フレア、ゴーストが発生します。絞ると、順光では、線が太いながらもカリッと描写します。斜光~光の回り込みなのかバルサム切れなのか、画面中央が白くなり、さらに低解像になります。RAW現像は必須です。また、フレアの中にレンズの劣化による点が発生してしまします。Steinheil 社のレンズには、劣化の激しいものが多いです。これらの欠点は、描写の独自性の観点からは、加点要素です。

総合 7/10

価格は若干高めですが、85mm、L39マウントでは、まあ妥当です。線の太い描写は、私は好みです。加えて、 珍しいOrthoscope型です。絞った時に白くなる光をどうするのか?開放にして流すのか、RAW現像に頼るのか、効果として生かすのか・・・。ファインダー中央部が白くなっている状況を楽しめる心の広い人にお勧めします。

このモデルと個体について

Culminarは3群4枚の逆Tessarのような、Orthoscope型です。構成図は出品者のひとりごとさんのものをトレースさせていただきました。spiral さんによれば、OrthoscopeはPetzval博士が基本設計して、Steinheil がAntiplanetとして制作したレンズのブラッシュアップ版だそうです。

長さ73mm 直径49mm 重さ280gで 最短撮影距離1mです。合焦方法は、Hektor 135mmElmarit 90mmと同じ 全群繰り出し方式です。ですので、最短撮影距離問題はヘリコイド付きマウントアダプターで解決しても良いのかも知れません。

825,*** のシリアルNOは、Camera-wikiの情報から1951年頃の製造のようです。ヤフオクで入手しました。

撮影準備

L39マウントですので、撮影にあたり、M39-M42リングと10mmのM42-M42ヘリコイドアダプターM42-NEXプレートで無限遠が出ますし、マクロ撮影も可能ですが、距離計が180°逆さを向いてしまします。見た目を気にしなければ、実用的な選択肢です。

最短撮影距離1mは若干長めですが、今回は、固定L39-NEXマウントアダプターを用います。

撮影(作例)

開放は、線が太い軟調な描写です。背景ボケは、二線ボケと大きな玉ぼけが出現します。 

F8以上に絞り込むと、シャープになりコントラストが、増します。しかし、低解像度であることには変わりません。

   

絞り込むと、中央が白くなることが、度々発生します。

まれに、フレアが発生します。フレアの中の点は、レンズの痛みに由来してそうです。

白滲みはあまり発生しません。VLシングルコートの恩恵でしょうか?

明るいレンズですので、夕方~夜間も使えることは使えます。

問題の光の回り込みは、コントラストを犠牲にしますが、黒犬の顔を写すのに良い場合もあります。

アンダーでも寒色系になりにくいレンズです。

ありがとうございました。

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