四角いボケを楽しむ三枚玉
おすすめ度
購入のしやすさ 8/10
ebayでは、カメラVitoretに付けられた状態で、非常に安価に(€20程度で)販売されています。L39にフランジバック調整され、シャッターが取り外されたものは、若干高価な傾向ですが、それでも、1万円程度です。
使いやすさ 5/10
シャッターユニットの前面にヘリコイドが付いており、シャッターユニットごと取り外すと、ヘリコイドが使えます。かつシャッターユニットは外しやすい構造で、取り付け金具もそのまま使用可能です。小型軽量で、非常に携帯性に優れたレンズです。汎用マウントアダプターでカメラに取り付けられないこと以外の残念な点は、次の2つです。1.最短撮影距離1m これは、現代の感覚からすると、長すぎます。ヘリコイドアダプターを併用して対応すべきです。2.重要な問題は、四角絞りであることです。このカメラが作られた1960年代の欧州ではボケの重要性が低かったことと、コストダウン影響でしょう。この四角絞りでは、夜景・イルミネーションを撮影するには厳しいかと思います。四角いボケは、まるでモザイクのように見えることがあります。開放で使うのか?、四角いボケを許容して、絞って楽しむのか?二者択一を迫られるレンズです。
現代レンズと比較した描写の独自性 8/10
このレンズの面白さは、絞ったときのモザイクのような四角いボケです。四角いボケは、現代レンズではあり得ないエフェクトを提供してくれます。製造の効率化やコストダウンが求められた、1960年代の影響を描写に反映させてくれる、希少なレンズであるとも考えられます。
総合 5/10
巨匠、Voigtländerのレンズと言えども、本モデルはコレクション用途で楽しむようなものではありません。唯一、四角ボケを楽しめる人には、おすすめ出来るレンズです。四角絞りをネガティブな要素に感じる人には、開放でしか使い道のないつまらないトリプレットレンズですので、全くおすすめ出来ません。
このモデルと個体
Vitoret L やVitoret LRに搭載されていた、トリプレット構成の三枚玉レンズです。Vitoretは1960年代後半に販売開始されたカメラです。この時期のVoigtländer は経営的に苦境に立っており、ちょうどZeiss IKONとの合併の頃に製造されたモデルです。そのためなのか、三枚玉で四角絞りという、合理性の塊の様なレンズユニットです。
このユニットは、オリジナルの座金込みで、ヤフーオークションで6千円ほどで購入しました。
撮影準備
L39フランジバックに調整し、アダプターで座金で押さえ込みました。
次のの3案が考えられます。
- ヘリコイド無しL39マウントアダプターを用いて、SONY Eマウントへの変換する
- M39-M42リングと10mmのM42-M42ヘリコイドアダプターとM42-NEXプレートを用いて、SONY Eマウントへの変換する
- L39からL39-LMマウントアダプターを挟み、LM-NEXでSONY Eへの変換する
撮影(作例)
F8では小さなモザイク柄のボケになります。
F11まで絞ると四角ボケは小さくなりますが、やはり四角です。
F4ではマインクラフト の様なボケになってしまいます。人の頭が・・・。
開放では円形のボケになります。トリプレットの魅力を発揮します。
アンダーでは寒色系が強くなります。癖強めのレンズです。
レンズが小型ですので、撮影の自由度が高くなります。
ありがとうございました。