特徴的な遠景ボケと合焦面の素直な描写
おすすめ度
購入のしやすさ 2/10
DALLMEYER社のレンズは世界的に人気で、特に戦前モデルは人気があります。本レンズは、1900年からあるモデルで、設計は古いですが、製造は戦後ですので、その分安価に購入可能です。
使いやすさ 3/10
ヘリコイド機構を持っていませんので、ヘリコイドアダプターが必要になります。140mmという画角とF6.5という、35mmフォーマットでは使いにくいスペックです。戦後モデルである本個体は、コーティング(Dallcoating)されており、逆光や白色被写体の滲みを発生させます。これらが減点ポイントです。焦点移動とヘリコイド移動量との比(焦点移動/ヘリコイド移動量)は、この時代のレンズとしては、比較的大きく撮影はしやすいレンズです。小型で軽い点も評価できるポイントです。通常の絞り機構も、使いやすく評価出来ます。光をコントロールさえ出来れば、かなりシャープな絵が出てきます。その反面、光量不足や反射などによって、急激に画質低下が現れる気難しい面もあります。
現代レンズと比較した描写の独自性 7/10
使いやすさとは反対に、Dallcoatingの滲みは独自性として評価出来ます。開放では、乱反射が多く画面か白くなりがちですので、常用は1段絞って使うのべきかと思います。遠景ボケは、うるさめのAplanat型の独特な描写です。
総合 3/10
140mmという画角とF6.5を35mmフルサイズフォーマットで使用するとなると、やはり使いにくいレンズです。加えて、本個体のような戦後ロットは、コレクション的価値も、あまりありません。コストパフォーマンスは、決して高くないレンズです。
このモデルと個体
1900年のカタログから4群4枚のRectilinear型です。このレンズは、英国のebay出品者から、45ポンドで購入しました。シリアル番号291,xxxです。これは、無一居さんの資料から、1940年代の個体とわかります。表面にくもりが見られますが、これはおそらく、Dallcoating だと思われます。
撮影準備
ヘリコイド付きアダプター
M42へ合わせるため、合計97.5mmフランジバックを延長しました。
レンズフード
レンズキャップ
フロントキャップ
リアキャップ
内面乱反射防止策
M42フランジバックになりましたので、M42-NEXか、ヘリコイド付きM42-NEXで接続します
撮影(作例)
反射などが無く、非常に良い条件であれば、非常にシャープな絵が得られます。
アンダー気味にすると、コッテリした色のりが得られます。
白い被写体は、強い滲みを生み出します。
白色が被写体のとき、クラシックレンズであることを再認識します。
アンダー部分は青色が強くなります。
開放F6.5のピント面は、決して深くはありません。
絞り込んで使うレンズだと思います。
ありがとうございました。