Carl Zeiss Jena Tessar 40mm F4.5 (Praktiflex M40)

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M42の前世代、M40規格の鷹の目

おすすめ度

購入のしやすさ 2/10

古典レンズ~クラッシックレンズへの以降の大役を担ったTessar型レンズは、各社において大量に作られたため、中古市場に溢れています。それは、Carl ZeissのTessarとて、例外ではありません。M42マウントの祖先M40であっても、明らかに希少性を無視した価格と扱いを受けています。流通量は少なめですが、価格はM42のTessarと大差なく安価です(M42よりもさらに安い時もあります)。

使いやすさ 6/10

当然ですが、PraktiflexのM40(フランジバックはM42と同じ)という、現代では特殊マウントですので、専用変換アダプターが必要になります。40mmという、あまり見かけない画角は、狭めの広角というよりも、広めの標準レンズとして使用する方が適切だと思います。非常にコンパクトな鏡筒は、ノスタルジックな気分に浸れたり、非常に軽量で持ち運びしやすいという利点を持っています。しかし、その反面、操作性はやや低くなります。最短撮影距離「0.7m」は、現代レンズと比較すると許容出来ない長さです。これは、ヘリコイド付きマウントアダプターで、対応する必要があります。このレンズのオリジナルヘリコイドは、全群繰り出し式ですので、ヘリコイドで繰り出しても、大きく光学性能を損なわないはずです。反射防止コートはありませんが、構造上フードがなくても使えます。開放F4.5は暗いですが、開放からガンガン使えます。

現代レンズと比較した描写の独自性 6/10

高コントラスト描写をするレンズで、まさに鷹の目です。バルサムの問題があるのか、開放でハイライトは、ふぁっとした描写になります。少し絞ると、中間階調が豊かになります。アンダーな場面で、寒色系に転ぶことがあります。派手な収差は出ず、破綻しません。Tessar型レンズの優秀さ、Carl Zeiss Jenaの調整の巧さが分かります。

総合 5/10

購入しにくく、特に使いやすい訳ではなく、突出したスペックがある訳ではない、Tessarというありふれた構成のレンズで、5/10なのは次の理由です。このレンズは使うちに、良さが伝わってきます。ハレーションの無さや、開放から使えるなど・・・。さすがCarl Zeiss Jena 製です。後の世代のTessar 50mm F2.8と比べ、肩の力を抜いて撮影できます。是非とも、機会があれば、マウントアダプターを用意して使ってみてください。

このモデルとこの個体について

Kamera-Werkstätten Praktiflex用に作られた、M40スクリューの3群4枚のTessarです。

 

Praktiflexマウント(M40)は、フランジバックはPraktica(M42)と同じ、45.5mmです。このM40は1938年から1946年まで採用されたマウントで、1947年からはM42に変更されています。ですので、M40→M42(or M39)に変換して、L39でフランジバック調節するのが、最適かと思います。このレンズのフィルター径は30.5mmです。このモデルには、反射防止コーティングを示す「T」がありません。後に、フィルター径30.5mmの、Tコートありの40mm F4.5はM42やExactaも販売されたみたいです。反射防止コートはありませんが、1枚目のレンズが鏡筒の奥まった位置にあるため、簡易フードと兼用になっている構造です。斜光、サイド光程度では影響を受けにくくなっています。

この個体は、ヤフーオークションで1万円で販売業者から購入しました。前後レンズキャップ無しで、くもりあり、ヘリコイドが固めの個体でした。幸いバルサム切れは重度ではなく、くもりはコバ材の汚れ付着だったため、簡単な分解清掃で除去できました。シリアル番号は、2,650,***です。camera-wiki.orgによれば、1939年の製造のようです。ちょうど、第二次世界大戦が勃発した年です。

撮影準備

マウントアダプター M40-M42

マウントアダプターM40-M42は、ヘリコイドマウントアダプター用で、フランジバックはL39に調節しています。

10-15mmのM42-M42ヘリコイドアダプターに接続し

M42-NEXの金属プレートで固定します。

マウントアダプター M40-M39

マウントアダプターM40-M39は、直接L39マウントアダプターに接続します。

リアキャップ

リアキャップを出力しました。

今回は、M40-M42アダプター、M42-M42(10-15mm)ヘリコイド、M42-NEXプレートを連結して使用しました。

撮影(作例)

開放での撮影でも、非常に階調豊かで、ボケは自然です。

周辺光量落ちが若干出ます。

この描写が、戦前~戦中のものであると考えると、驚愕します。鷹の目は伊達じゃないです。

怒られてしまいました(笑い)。

白色は、滲みます。ノンコートの限界です。

アンダーで寒色系に転びます。

本当によく写るレンズです。

流石に、開放での中距離~遠景は厳しいです。

近景~中距離が、得意だと思います。

ありがとうございました。

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