M37アダプターで覗く、Superでない、秀作なTessar型の世界
おすすめ度
購入のしやすさ 2/10
Super Takumarと比べると、流通量が少なく、良い状態の個体は貴重です。Tessar型のレンズにしては、価格が高めです。さらに、純正フロントキャップを持っている個体は希少です。
使いやすさ 3/10
50mmの画角ですから、とりあえず持って行けます。しかし、M37アダプター問題と、フロントキャップがない場合には、代替品を探す手間は厄介です。
現代レンズと比較した描写の独自性 3/10
最新レンズの、カリカリな解像感は得られません。けれども、Tessar型レンズで、よく写ります。
総合 2/10
Takumarの歴史上、非常に重要なレンズです。
しかし、コンディションの良いTessar型レンズが、破格で投げ売りされている現状では、Takumarファン以外は、敢えて選ぶ意義は少ないレンズです。
モデル詳細
Takumar 50mm F3.5は、国産初の35mmフィルム一眼レフカメラASHIFLEXに搭載された、標準レンズで、美しい鏡筒をもつレンズです。
LENS-DB.comによれば、3群4枚の典型的なTessar型です。
LENS-DB.comから、1952年~のモデルは通常絞りタイプで、1953年~のモデルはプリセット絞りに変更されています。
本モデルはプリセット絞りですので、1953年~1956年に製造されてASAHIFLEXに搭載されてたものだと思われます。
このモデルも、上位モデルにあたる58mm F2.4(右)も、距離計はFeet表記です。
海外(米国)市場をメインターゲットとして商品開発したのでしょうか?
この58mm F2.4の影響で、存在感が薄い50mm F3.5ですが、全くレンズ構成が違うため、用途に応じた使い方が楽しめそうです。
この個体について
レンズのシリアル番号57***で、ヤフオクにて、シリアル番号53***のASHIFLEX ⅡAにくっつけて出品されていました。
上 出品者様の説明写真
ジャンクで出品されていた、当時の写真をみると明らかな、絞りの異常がある状態でした。通常、私はこの様な商品には手を出さないようにしていますが、(皆これに気づいて入札者も少なく)、非常に安価な価格に惹かれ購入しました。相当長くキャップなしで放置されていたのか、カビも多く付着していました。
分解メンテナンス
このレンズの分解方法は、ネット検索では見当たら無かったため、載せておきます。
1.銘板を回して前玉を外すと、1枚目と2枚目ユニットが外れます。
2.後玉を外す
3.矢印の絞環をカニ目レンチで外すと、ユニットが前方向に外れました。
修復後
絞り値5.6で、少し引っかかるクセが付いていますが、何とか戻すことが出来ました。
M37マウント対策
Fusion360で、外周をM42×1ネジを、内周をM37×1ネジとしました。
M42マウントアダプターに連結させた時に、距離計指標が、180度ずれたりする場合がありますので、調整が必要です。
90°ずつずらしたものを作りました。
M37 to M42 v1(STL)
M37 to M42 v2(STL)
M37 to M42 v3(STL)
M37 to M42 v4(STL)
フロントキャップは、かぶせ型を3Dプリンターで作りました。
内径32mm、内側の高さ3mmとしました。
保管用のM37リアキャップ
フランジバックは、Asahi-PEXTAX(M42 PRAKTICAマウント)と同じ45.5mmで、通常のM42マウントアダプターで無限遠が出ます。今回も、ヘリコイド付きマウントアダプターをチョイスしました。
距離計表記は最短2.5Feetです。M42-NEXのヘリコイド付きアダプターを用いれば約15cmまで寄れます。これで、一気に楽しさ倍増します。
撮影(作例)
夜間撮影
開放(F3.5)、シャッター速度1/30~1/60
暖かくなってきたので、久しぶりに夜のお散歩
かわいいお洋服の、ダックスくんとご挨拶出来ました。
ゴールデンくん、元気いっぱいです。シャッター速度1/30はつらかった。
梅は満開ですが、桜はまだです。
昼間撮影
開放では、ボケに怪しさが残ります。
絞り込むと、シャープなTessarの本領を発揮します。
小さいレンズでも、解像度は十分です。
ヘリコイドアダプターで、最短撮影距離を縮められました。
今日も、たくさんのワンちゃんに遊んでもらいました。ありがとうございました。