RICOH XR RIKENON 55mm F2.2

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無名のレンズだが・・・銘玉?、迷玉?-FUJINON 55mm F2.2のコピー 

おすすめ度

購入のしやすさ 8/10

輸出向けに製造されたということで、国内流通はほぼ見かけません。しかし、ebayでは、非常に多くの個体が出品されています。本レンズは、レンズ構成も鏡筒もコスト削減の跡があり、新品販売時に非常に安価な値札が付いていた様です。かつ、ネット上のレビューも酷評されていますので、販売価格も非常に安価です。

使いやすさ 7/10

標準域のレンズとして考えると、大きさは普通です。しかし残念なことに、コーティングにもコストダウンの跡があり、モノコートかノンコートであると想像できるぐらい、フレアが激しくでます。フレアを除くのであればフードが必須ですので、全体的に大きくなります。このため減点しました。レンズ重量はプラスチック鏡筒であり、非常に軽く持ち出しやすいレンズです。当然、高級感は一切感じられません。一部のサイトでは、ビルドクオリティーを酷評されていますが、動作に全く問題が無く、操作性も悪くない、使いやすいレンズです。加えて、マウントは、M42代替のユニバーサルマウントと言われた、ペンタックスKマウントですので、マウントアダプターを含め、使用に大きな制約はありません。しかし、最短撮影距離「0.8m」は、ながめです。ヘリコイド等で補うのがベストでしょう。

現代レンズと比較した描写の独自性 10/10

開放の撮影では、後ボケのうち光を反射している部分は、「原則シャボン玉ぼけ」になります。前ボケは、円形状に流れてぐるぐるボケになろうとしますが、実際にはぐるぐるボケは発生しません。かなり、FUJINON 55mm F2.2と同じ傾向ですが、収差に関しては、FUJINON 55mm F2.2よりも暴れます。硝材が異なるためか、FUJINONに比べハイコントラストで、中間色が飛びがちです。

総合 8/10

円安の時代ですが、ebayを探せば、FUJINON 55mm F2.2よりも安価な個体を探すのは容易です。コストダウンの結果、販売価格の安い、開放で収差のデパートのような描写ですが、収差を「独自性」と考えると、素晴らしいコストパフォーマンスのレンズです。本レンズは非常に安価に入手できるので、最近は良い状態の商品が市場に少なくなったFUJINONの、代用品としての役割を十分果たします。

このモデルについて

LENS-DB.COMによると、XR RIKENON 55mm F2.2は1980年から販売を開始ししたレンズで、4群4枚の構成です。RICONAR 55mm F2.2としても販売されていたみたいです。しかし、webを探しまくっても、レンズ構成図が見つけれませんでした。どうしても「4群4枚」「55mm F2.2」って聞くと、最近人気急上昇中の「FUJINON 55mm F2.2」を連想してしまいます。

Tokitaroさんのブログ「tokinon 50/1,4 – Standard Lens collection.」に2000本+α製造された輸出用であったことが記載されています。さらに、このレンズはCosinon 55mm F2.1と同じであるという説明を、沖せんちょさんのページで見かけました。他のRIKONONレンズでも、コシナの設計が分かっていますので、コシナ製であっても驚きはありません。CosinonがF2.1表記なのは、オリジナル製造のプライドなのでしょうか。

ところで、出品者のひとりごと・・・さんの記載から、CosinonがF2.1はFUJINON 55mm F2.2のコピーであったことが分かりました。

つまり、XR RIKENON 55mm F2.2 = Cosinon 55mm F2.1 ≒ FUJINON 55mm F2.2

おそらく想像ですが、特許の関係もあって、RIKENON 55mm F2.2は外外販売専用モデルだったのかも知れません。この様な事情では、レンズ構成図を公表できかったのでしょうか。下は、出品者のひとりごと・・・さんに掲載されていた、Cosinon 55mm F2.1の構成図をトレースしたものです。

この個体について

レンズ構成4群4枚から、このレンズに興味を持ち始めましたが、在庫を抱える国内の販売者を見つけることが出来ませんでした。諦めかけてebayを覗くと、かなりの数の出品を見つけました。やはり「輸出用」だったのですね。この個体はリトアニアの出品者から、US$20以下で購入することが出来ました。このレンズが、どの様な経路を通ってリトアニアまで行ったのか分かりませんが、恐らく30年以上経過して、逆輸入したことになります。筐体先端部には、市販の汎用ラバーフードが取り付けられいました。

撮影準備

これは、逆光耐性が非常に低くいレンズです。半逆光から、盛大にフレアが発生します。レンズ鏡筒の形状に因る部分も多いとは思いますが、貧弱なコーティングの部分もあると思います。フレアをエフェクトとして使用しないのであれば、レンズフードの装着が必要です。

フィルター径⌀52mmですので、それを用いてフードを3Dプリンターで出力しました。

ペンタックスKマウントですので、PK-NEXマウントアダプターでも良いのですが、

より寄るためPK-LMLM-NEX(ヘリコイド付き)で連結しました。

撮影(作例)

上の写真の拡大を示します。

左上の遠景ボケは、光を反射してシャボン玉ぼけになっています。

驚くことに、下を見ると、アスファルトの反射も同じく円形ボケになっています。

開放で、光が多いと収差だらけの絵になります。

反射光が少なくなると、幾分落ち着きます。

コントラストが高く、中間階調が飛びがちです。

フードを付けていても、ハレーションが起こります。このレンズは逆光耐性が皆無です。

前ボケは、ぐるぐるになろうとしています。

開放で無限遠は、100年前のレンズのような、滲みが現れて面白いです。

F8まで絞り込むと普通の写りになりますが、解像度は少なめです。

RAW現像で黒を持ち上げていますが、アンダー部分はかなり粘っています。

F8でも、決して、カリカリの絵にはなりません。線が太い描写です。

ありがとうございました。

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